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病気、ストレスが駆逐された”優しい”医療福祉社会の崩壊『ハーモニー』【小説感想】

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むかしは風邪だとか頭痛だとか何千っていう小さな病気が人体に溢れていた。

誰でも病気にかかった。たった半世紀前の話。

だが、大災禍(ザ・メイルストロム)で世界中に核弾頭が落ちて、放射線で人々が癌になり始める。

そこで、世界は病気の駆逐に乗り出し始めた。

政府を単位とする資本主義的消費社会から、構成員の健康を第一に気遣う生府(ヴアイガメント)を基本単位とする医療福祉社会に移行した。

優しさや倫理が横溢し、ストレスと病気から解放された「ユートピア」。

だがこの世界、何かがおかしい。

伊藤計劃による世界の未来を書いたSF小説。

「日本SF大賞受賞」2009年受賞作。

 

「ハーモニー」の見どころ

WatchMe

大人たちは皆、身体にWatchMeを入れている。

WatchMeは恒常的に健康監視をしてくれる。病気はもちろん太り過ぎや痩せ過ぎまで完璧に日常から駆逐してしまった。

デブという言葉がむかしはあったらしい。

技術は確実に進化し、人々は医療福祉社会を謳歌する。

 

「優しい」世界

世界は人間に優しくなった。

空港などの大型の建築物は通る人が威圧感を感じないように、色や構造などに徹底的に「やさしさ」のテクノロジーを駆使する。

生活の中で蓄積されたプロファイリングシートはもう一つの自分。

日々の生活の中で自分の好き嫌いの倫理的な傾向を検出し、小説やらエッセイやらで過去のトラウマに抵触するような部分があれば、勝手にフィルタリングしてくれるか事前に警告をする。

”この芸術作品は心的外傷”に触れる可能性があります”

”この小説は一般的倫理検証項目四〇八九六A(ヘルス&クリア生府倫理評議会二〇四九年十二月四日策定)に抵触する恐れがあります”

世界は徹底的に優しくなった。芸術にさえも。

調和(ハーマニクス)を第一とする生命主義社会に人々は生きる。

 

世界の異変

人間は病気、ストレス、争いから解放された。

そんな世界で突然、世界の至るところで6582人もの人間が同時に自らの命を絶とうと試みた。

当事者は用いた手法はバラバラで、

ハサミ、箸、飛び降り、絞首、リストカット、チェンソー、テーブルナイフ

とその他諸々、実に豊かなレシピが揃っていた。

これが医療福祉社会の”終わりの始まり”だった。

 

終わりに

というわけで『ハーモニー』を紹介した。

優しさや倫理が横溢し、ストレスと病気から解放された「ユートピア」。

その「ユートピア」が一瞬にして崩壊してしまうところから物語は始まる。

伊藤計劃による世界の未来を書いたSF小説の名作。

医療福祉社会の隠された秘密とその崩壊の謎を追ったスリルあふれる小説になっている。

 

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