漫画ギーク記

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「貴志祐介」おすすめ小説ランキングまとめ12選

 

思わず身震いするような恐ろしい描写異常だとしか言いようがないサイコキラーが登場するミステリー・サスペンス小説が持ち味の小説家・貴志祐介。

そんな貴志祐介作品の代表作の中で文庫化された全小説で個人的に面白かったと思ったものをランキング形式でまとめてみた。

軽くトラウマになるほどの恐怖を感じる状況目を背けたくなるほどのグロテスクな表現も多いが、一冊読むと「貴志祐介中毒」となり、また一冊と手に取りたくなってきてしまう。

 

「貴志祐介」おすすめ小説ランキング

【1位】 悪の教典

 

この学校には怪物が棲んでいる。

英語教師の蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしている優秀な教師だった。

だが、この教師には”裏”の顔がある。

問題解決のためならあらゆる手段、「殺人」をもじさない異常者だった。彼の暴走は行き着くところまで行ってしまう。

一見、平和に見える「地獄」のクラス。彼を担任にしたクラスの生徒たちは無事に卒業できるのか。

 

 

【2位】 黒い家

 

若槻慎二は、生命保険会社で保険金の支払い査定の仕事に従事する。

ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまった。事件性を疑った若槻は保険金の支払いを保留し、この家の調査に乗り出す。

だが、これが若槻と「サイコパス」の接点となってしまった。

若槻はサイコパスにその命を狙われ、眠れない日々が始まった。

貴志祐介小説はどれも怖いが、純粋な「恐怖度」で言えばこの小説が随一であろう。

恐怖の連続とめまぐるしい展開にページをめくる手が止まらない。

 

 

【3位】 新世界より

 

1000年後の日本。物を自由に浮かすなどができる念動力を身につけた人類はその力を賢く使い平和に豊かに暮らしていた。

その町に生まれた12歳の少女・渡辺早季と同級生たちは、とあるきっかけでこの平和な世界の裏の秘密を知ってしまう。

「呪力」「町ぐるみで暗殺される子供」「奴隷のように扱われる生物・バケネズミ」「一度滅びた文明」

人類が苦心の末に築き上げた平和の下に潜む「負の遺産」が彼らに牙を向ける。

貴志祐介の作品の中での唯一のSF小説。アニメ化や漫画化もされている。

全ての伏線が繋がり、平和な世界の真実がわかったときの衝撃が凄すぎる。

 

 

【4位】 青の炎

 

櫛森秀一は湘南の名門校に通う優秀な高校生。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人で仲良く暮らしていた。

そんな平和な家庭に母の10年前に別れた男、曽根が現れた。曽根は秀一の家に居座り、傍若無人な態度で、母の体のみならず妹にまで手を出そうとした。

家族の幸せを取り戻すために。

秀一は曽根を自らの手でこの世から葬ることを決意した。

完全犯罪に挑む一人の少年による青春ミステリー作。物語のリアリティーが凄まじく、秀一の運命に涙する感動の名作。

 

 

【5位】 クリムゾンの迷宮

 

藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。

視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。

ここはどこなんだ?傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。

「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」

それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。

デスゲーム系の小説でこれ異常による出来た小説は読んだことがない。

ゲーム主催者の悪意に戦慄する。

 

 

【6位】 天使の囀り

 

北島早苗は、終末期医療に携わる精神科医。

恋人の高梨は、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格の異様な変容を見せていた。そして『死』に魅せられたように自殺してしまう。

さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることが判明した。

アマゾンでいったい何が起きたのか?彼らは日本に世にもおぞましいものを持ち帰ってきてしまっていた。

「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?

グロテスクな描写に徐々に解き明かされていく謎と貴志祐介の魅力が存分に詰め込まれている小説。

 

 

【7位】 十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA

 

賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。

その能力を活かして大震災後のボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。

由香里は、千尋が心の中に複数の人格が同居している「多重人格者」であった。

幾つもの人格と言葉を交わし、ケアに努める由香里。

だが、千尋の十三番目の人格「ISOLA」に触れ、千尋の中の闇を目の当たりにする。

そして千尋の周りで相次いだ不審死と「ISOLA」の関係に疑念を持ち始める。

貴志祐介のデビュー作。話の恐ろしさはこの頃からすでに完成されている。

 

 

【8位】 「防犯探偵・榎本」シリーズ

貴志祐介による唯一のシリーズものの小説にして、「密室」を扱った王道の推理小説。

グロテスクな描写が溢れるサスペンスはこのシリーズでは封印されている。

全小説の中でも異質な雰囲気の漂う話となっている。

防犯コンサルタントにして現役の泥棒(?)な榎本径を探偵役とし、女弁護士・青砥純子がタッグを組んで密室の謎に挑んでいく。

数々の「強固な密室」が登場する。

 

硝子のハンマー

 

日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。

エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。

オフィスは過剰なまでに厳重なセキュリティを誇っていた。

疑いをかけられてしまった容疑者を弁護するために青砥純子が密室を解くべく動きだす。

二人が出会うきっかけとなる事件。

密室の謎とタイトルの意味がわかったときの衝撃がすごい。

 

 

狐火の家

 

「防犯探偵シリーズ」第二弾。

長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生した。

犯人の逃走経路は不明。事件現場は完全な密室で第一発見者の父に娘殺しの疑いがかかる。

昨日まで平和に暮らしていた普通の一家にいったい何が起きたのか。

「犯罪」は許すが、「悪」は許さない。そんな防犯探偵・榎本径の犯罪へのスタンスが見える話。

表題作を始め全4編から成る短編集。

 

 

鍵のかかった部屋

 

「防犯探偵シリーズ」第三弾。

元・空き巣狙いで刑務所から帰ってきたばかりの会田は、溺愛する甥が練炭自殺をした現場に居合わせてしまった。

完全な密室状態で、状況から自殺の可能性が濃厚。だが、動機が見当たらず殺人事件であることを疑いだす。

会田はかつての”共犯者”で防犯探偵・榎本径に密室の謎を解く依頼をした。

表題作を始め全4編から成る短編集。

 

 

【9位】 ダークゾーン

 

「戦え。戦い続けろ」

プロ将棋棋士の卵・塚田は、赤い異形の戦士と化して、闇の中で目覚めた。

突如、謎の廃墟で開始される青い軍団との闘い。敵として生き返る「駒」、戦果に応じた強力化など、奇妙なルールの下で続く七番勝負。

頭脳戦、心理戦、そして奇襲戦。

“軍艦島”で繰り広げられる地獄のバトルが始まった。

頭脳を駆使したデスゲームファンタジーの要素が混じり合った小説。

死は何度でも繰り返される。ハラハラとした展開にドキドキが止まらない小説。

 

 

【10位】 雀蜂

 

11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎が見たものは、次々と自分を襲ってくるスズメバチの大群だった。

猛吹雪で蜂と閉じ込められ、命を狙われた安斎。これは誰かの罠なのか。

最初から最後まで蜂と戦い続けるサバイバルサスペンス小説。

真実がじわじわと明かされていく。最後の最後で物語の全てがひっくり返る場面が見どころ。

 

 

まとめ

というわけでおすすめ「貴志祐介」小説ランキングをまとめてみた。

貴志祐介は小説家としての年月に比較してその刊行数は少ない作家である。これは一冊に対して綿密な取材等を行っていることにも起因している。

ファンは新刊を長く待つことになるが、どの小説もその熟成された期待を裏切らない面白い内容となっている。

個人的に好きな作品の順位はつけたが下位作品も十分すぎるほどに面白い。

興味のある小説をぜひ手に取ってみてください。

 

ちなみに小説ではないがミリオンセラーを連発するための手の内を明かした『エンタテインメントの作り方 』や私生活を垣間見ることができるエッセイ『極悪鳥になる夢を見る 』も出版されている。