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SF史上最悪のパラドックスを描く小説『リライト』【小説感想】

 

過去は変わらないはずだった。

1992年夏、2311年から来たという保彦と出会った中学2年の美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。

時を超える薬、突然の別れ、彼と過ごした夏は美雪の心の中にいつまでも残っている。

そして10年後の2002年、過去の自分がやってくるはずのタイムリープ当日になったが10年前の自分が現れない。

不審に思い調べるなかで、保彦のこと、学校のことを調べる中で美雪は記憶と現実の違いに気づきはじめた。

タイムリープをメインテーマとし、最悪のタイムパラドックスを書いたSFミステリー小説。

物語の点と点が繋がった時の衝撃がすごい。

 

「リライト」の見どころ

2311年から来た未来人

旧校舎での早朝、日直としての仕事をこなしていた美雪の目の前に突然、クラスメイトの保彦が現れた。

何もなかった空間へのなんの前触れもない出現。見られてはいけない現場を見られてしまった彼は自分が2311年から来た未来人であると打ち明ける。

彼の持っている「時を超える薬」を使えばそれが未来でも過去でも、何十年でも何百年でも何千年でも超えられるらしい。

秘密を知ってしまったことから二人の忘れられない夏が始まる。

 

タイムパラドックス

タイムリープをした後に、もし過去が変わってしまうと未来にどんな影響がでるかわからない。タイムパラドックスが発生してしまう。

2002年、現在。

美雪の世界では10年前の自分が未来に飛んでくるはずなのだが、その自分がこなかった。どこかで過去が変わってしまっているのか?

さらに、現在の世界で自分の記憶と整合が取れないことが次々と起こり始める。

二人の出会いにより10年後の世界に歪みが生じ始めた。

 

変わりゆくヒロイン

『リライト』では1992年の世界と2002年の世界が交互に登場し、物語が進んでいく。

章が変わるとヒロインの名前が次々に変わるという不思議な事象が起こり、読んでいてかなり混乱をする。

前半、中盤と呼んでいても物語に対して疑問だらけとなる。

だが、最後にそれらの疑問や謎の全てが解消される。そのときの衝撃が凄まじい。

キーワードは「タイムパラドックス」だ。

 

終わりに

というわけで、『リライト』を紹介した。

最悪のタイムパラドックスを書いたSFミステリー小説。

「時をかける少女」の影響を受けている小説でパロディーネタもいくつか登場する。

読んでいて混乱するほどに疑問と謎が多いが、それらが解消された時の衝撃がとにかくすごい。

本家の「時をかける少女」のように青春モノの小説ではない。「人間の悪意」を存分に味わえる。

 

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