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泥棒が「密室の謎」に挑む推理小説『鍵のかかった部屋』【小説感想】

 

元・空き巣狙いで刑務所から帰ってきたばかりの会田は、溺愛する甥が練炭自殺をした現場に居合わせてしまった。

部屋は完全な密室状態で、状況から自殺の可能性が濃厚。

だが、甥が自殺をする動機が見当たらず殺人事件であることを疑いだす。

会田はかつての”共犯者”で防犯探偵・榎本径に密室の謎を解く依頼をした。

防犯コンサルタントにして現役の泥棒(?)な榎本径を探偵役とし、女弁護士・青砥純子がタッグを組んで密室の謎に挑んでいく貴志祐介による推理小説。

「防犯探偵シリーズ」の第三弾で表題作を始め全4編から成る短編集。

二人が4つの密室に挑む。 

 

「鍵のかかった部屋」の見どころ

破れない4つの密室

「鍵のかかった部屋」には全部で4つの密室が登場するが「防犯探偵シリーズ」の第一弾『硝子のハンマー』、第二弾『狐火の家』同様にどれも犯人による巧妙に企てられた密室で榎本径と青砥純子をくるしめていくことになる。

山荘で社長が自殺をした事件「佇む男」、少年は自分の部屋で練炭自殺をした事件「鍵のかかった部屋」、欠陥住宅をめぐるトラブルが発展した事件「歪んだ箱」、演劇の最中に劇団員が殺された事件「密室劇場」の全4編で構成される。

密室ではどれもよく練りこまれたトリックが披露される。

 

鍵のかかった部屋

会田愛一郎は「サムターンの魔術師」の異名を持つ元泥棒で、内側からドアを開けるためのつまみ・サムターンを外から開けるのが得意な泥棒だった。

だが、狙いをつけた家に引きこもりの息子がいることに気づかず侵入してしまい、それがきっかけで服役することになってしまった。

服役を終え、仲の良かった甥と姪に会おうと遊びに行ったときに、甥が部屋で練炭自殺をしている現場に遭遇してしまった。

部屋は完全な密室状態で、状況から自殺の可能性が濃厚。

だが、甥が自殺をする動機が見当たらず殺人事件であることを疑いだし、かつての”共犯者”の榎本径に事件の調査の依頼をした。

とある家庭で起きた「知能犯」による考え抜かれた密室が登場する。

 

終わりに

というわけで『鍵のかかった部屋』を紹介した。

弁護士と防犯コンサルタント兼泥棒が密室での殺人事件の謎に挑む王道のミステリー小説。

事件の謎や犯人の動機などの推理小説の魅力を純粋に楽しめる物語となっている。

「防犯探偵シリーズ」の第一弾『硝子のハンマー』、第二弾『狐火の家』を読んでから読むのがいいと思う。

犯人によって考え抜かれた密室の数々が登場する。

面白い王道の推理小説が読みたい人にはおすすめのシリーズである。

 

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