擬似科学を用いて物語を紡ぐSF小説。
空想上に存在する科学技術などによって様々な事件などが巻き起こるサイエンス・フィクション。
ロボット、タイムトラベル、宇宙人、冷凍睡眠など登場する科学技術も多種多様。
そんなSF小説の中で、面白い傑作・名作小説をまとめてみた。
それもわくわくする未来技術の詰まった小説となっている。
※目次で海外編・海外編で分かれている。
おすすめの「SF小説」まとめ
海外編
星を継ぐもの
月面で、真紅の宇宙服を着込んだ死体が発見された。
すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行なわれた結果、驚くべき事実が明らかになる。
死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。
ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいたのだ。
この”人物”は果たして何者なのか?
一人の屍体から、壮大なドラマが生まれる。
火星の人
有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。
だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。
生存は絶望的。指揮官は彼の死体を火星へ置いていく決断をした。
ところが、奇跡的にマークは生きていた。
不毛の赤い惑星に一人残された彼は、限られた物資・食料で自らの知識を駆使して生き延びていくことを目指す。
彼は無事に生きて地球に帰れるのか?火星サバイバルSF小説となっている。
夏への扉
主人公のダンは不幸のどん底にいた。フィアンセに裏切られ、会社を乗っ取られ、自分の特許も奪われてしまった。
ダンは思いついた。未来に行ってこの悩みを忘れてしまってはどうだ?
こうして、ダンは相棒の猫のピートと共に30年後の未来へと旅立つことを決意する。
時間旅行、冷凍睡眠(コールドスリープ)を題材とし未来と過去を行き来するタイムトラベル系のSF小説。感動の名作。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。
人口の電気羊しかもっていないリックは本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきた奴隷アンドロイド8人の首にかけられた莫大な懸賞金を狙って決死の狩りをはじめた。
あらすじで面白いことが確信できる小説。実際の内容もその期待を裏切らない。
スリルあふれる展開に胸が高鳴る。
幼年期の終り
そのときは何の前触れもなく訪れた。
突如出現した巨大な宇宙船の一団がニューヨーク、パリ、モスクワ、ローマ、ケープタウン、東京、キャンベラ等の大都市のちょうど真上に浮かんだのだ。
そして彼らは何をするわけでもなく沈黙を守り、ただただ地球の上空に居座り続けた。
それから50年、彼らはその姿を誰にも見せることなく見事に地球の管理を行って見せた。
「地球と人類」「異星人」のファーストコンタクトを書いたSF小説の名作。
突然訪れたそのときに、人類にはどんなには選択肢が問われる。
鋼鉄都市
三日前に宇宙人が一人殺された。
かつて地球から移民として宇宙のあちこちに移住していった人々が、やがて他の世界に宇宙国家を作った。地球側から独立して現状維持を目論む地球と衝突、逆に地球を制圧してしまう。
そんな社会情勢の中で宇宙人殺害事件が発生した。
ニューヨーク市警C−5級私服刑事イライジャ・ベイリは地球人として事件の担当をし、真相を追う。
彼は、宇宙人側からのパートナー「R・ダニール・オリヴォー」とペアを組む。
だが、彼は生物ではなく精巧に作られた高度なヒューマノイド・ロボットであった。
「ロボット三原則」を定めたアイザック・アシモフが自らその盲点を突いたSFミステリー小説。
アルジャーノンに花束を
パン屋の店員チャーリイは32歳だが、知能障害を持っているために6歳児並みの知能しか持っていなかった。
そんな彼に、画期的な脳外科手術を受ければ頭がよくなるかもしれないと告げられる。
動物実験でネズミのアルジャーノンに施した同じ手術は成功しており、アルジャーノンはネズミとしてはありえないほどの知能を持って生まれ変わっていた。
チャーリイも賢く生まれ変わるためにこの手術を受け入れることを決意した。
人間にとって大切なものは「知能」か「心」か。考えさせられる小説。
チャーリイの人生を涙無くしては見ることができない。
華氏451度
華氏451度。この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。
451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。
本の所持を禁止された世界で、本を所有しているだけで逮捕されて、その本は燃やされる。
モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうしたファイアマンのひとりだった。
しかし、彼はとある風変わりな少女との出会いをきっかけに「禁断の書籍」に興味を持ってしまった。
彼は、自分の命を脅かしかねない危険すぎるものを手にとってしまうことになる。
本が忌むべき禁制品となった未来を舞台とした物語が紡がれる。
月は無慈悲な夜の女王
2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は地球政府に対し独立を宣言した。
流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取され続けてきた。
革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためにはどうすればいいのか。
月の独立戦争の様子が描かれる。
一九八四年
1984年現在、世界は三強国によって支配されている。
舞台はオセアニア、ロンドン。この国は「ビッグ・ブラザー」率いる党に支配されている。
”過去をコントロールするものは未来をコントロールし、現在をコントロールするものは過去をコントロールする”
この国では国民に行動・思想の自由はなくその一挙手一投足は全て監視される。
この社会に疑問を持ち、反逆の狼煙をあげることになる一人の男の物語が書かれる。
ジョージ・オーウェルに政治色の強いSF小説。
日本国内編
虐殺器官
核爆弾テロによって世界中で戦争・テロが激化した結果、先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃した。
だが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
米軍大尉クラヴィス・シェパードは、そんな中で人間には大量殺戮を引き起こす”虐殺器官”が存在すると耳にする。
この虐殺器官とは何なのか?クラヴィスは調査に乗り出した。
リライト
過去は変わらないはずだった。
1992年夏、2311年から来たという保彦と出会った中学2年の美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。
時を超える薬、突然の別れ、彼と過ごした夏は美雪の心の中にいつまでも残っている。
そして10年後の2002年、過去の自分がやってくるはずのタイムリープ当日になったが10年前の自分が現れない。
不審に思い調べるなかで、保彦のこと、学校のことを調べる中で美雪は記憶と現実の違いに気づきはじめた。
タイムリープをメインテーマとし、最悪のタイムパラドックスを書いたSFミステリー小説。
物語の点と点が繋がった時の衝撃がすごい。
新世界より
1000年後の日本。物を自由に浮かすなどができる念動力を身につけた人類はその力を賢く使い平和に豊かに暮らしていた。
その町に生まれた12歳の少女・渡辺早季と同級生たちは、とあるきっかけでこの平和な世界の裏の秘密を知ってしまう。
「呪力」「町ぐるみで暗殺される子供」「奴隷のように扱われる生物・バケネズミ」「一度滅びた文明」
人類が苦心の末に築き上げた平和の下に潜む「負の遺産」が彼らに牙を向ける。
貴志祐介の作品の中での唯一のSF小説。アニメ化や漫画化もされている。
全ての伏線が繋がり、平和な世界の真実がわかったときの衝撃が凄すぎる。
know
超情報化対策として、人造の脳葉「電子葉」の移植が義務化された2081年の日本・京都。あらゆる情報にあらゆる場所からアクセスできる。
情報庁で働く官僚の御野・連レルは、超情報化社会の核となった情報素子のコードのなかに開発者が残した暗号を発見する。
その“啓示"に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。
彼女は一般人ではありえない、世界最高の情報処理能力を持った、世界の全ての情報に手を届く人間だった。
御野は彼女を保護するために共に行動をすることになった。
だがそれが世界が変わる4日間の始まりだった。
時砂の王
私は二千三百年後の世界から来た。だが、ここの未来からではない。多くの滅びた時間枝を渡ってきた。
未来の地球では、宇宙の別の星からのETと呼ばれるものたちに侵略を受けていた。
激しい戦闘が繰り広げられ、人類は苦戦をしいられる。ついには、人類の滅亡目前までに追い込まれてしまった。
滅亡の危機から救おうとあらゆる時間枝の数多のメッセンジャーたちが未来から過去に送られ、歴史への介入を開始した。たった一つの人類が生き残る時間枝を求めて。
舞台は邪馬台国、卑弥呼の生きた時代。
未来の人々、過去の人々が数千年後の未来のために未知の侵略者と戦う物語である。
ハーモニー
むかしは風邪だとか頭痛だとか何千っていう小さな病気が人体に溢れていた。
誰でも病気にかかった。たった半世紀前の話。
だが、大災禍(ザ・メイルストロム)で世界中に核弾頭が落ちて、放射線で人々が癌になり始める。
そこで、世界は本気になって病気の駆逐に乗り出し始めた。
政府を単位とする資本主義的消費社会から、構成員の健康を第一に気遣う生府(ヴアイガメント)を基本単位とする医療福祉社会に移行した。
優しさや倫理が横溢し、ストレスと病気から解放された「ユートピア」。
だがこの世界、何かがおかしい。
世界の未来を書かれた小説。
マルドゥック・スクランブル
賭博師シェルの策略により、少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。
瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器で金色のネズミ、ウフコックだった。
法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル−09。
この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが、そこに敵の担当官ボイルドが立ち塞がる。
それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした男だった。
カジノでのブラックジャックをするシーンが特にいい。
きまぐれロボット
お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買い入れた。
オールマイティのなんでもできるロボットだが、時々あばれたり逃げたりととんでもない行動をする。
ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが、実はこれら行動にも合理的な理由が隠されていた。
表題作「きまぐれロボット」を始めとして、”SF”ジャンルの様々なショートショート作が収録される短編集。
思わず唸ってしまう全35編が含まれている。
煙突の上にハイヒール
恋人にだまされた織香は、大きな衝動買いをした。一人乗りのヘリコプターMew。
心躍る飛行体験が、彼女の前に新しい世界を拓いてゆく。
猫の首輪に付けた超軽量カメラ。猫目線の隠し撮り映像には、思いもかけないものが映っていて。
人とテクノロジーの関わりを温くも理知的な眼差しで描く、ちょっぴり未来の5つの物語が収録された短編集。
妙なる技の乙女たち
時は近未来2050年。赤道直下の宇宙産業都市リンガには、ひたむきに働く乙女たちがいた。
宇宙服のデザインに挑む京野歩、月と地球を結ぶ軌道エレベーターに乗務する犬井麦穂。
「未来」×「科学」×「乙女」×「仕事」の物語。
窮地に立たされても夢とスキルとプライドで乗り切る彼女たちのオムニバスストーリー。SF感はそこまで強くはないが、「仕事」への熱意をひしひしと感じることができる物語となっている。
神様のパズル
留年寸前の綿貫が担当教授から命じられたのは、不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。
人工授精により生まれた天才少女で、天才さゆえに大学側も持て余し気味という穂瑞。
だが、究極の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」をぶつけてみたところ、彼女は興味を持ち始めた。
これがきっかけで綿貫は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないことになってしまう。
宇宙の謎に挑む青春物語。宇宙に関する専門用語がバンバンと飛び交っていて読んでいて楽しい。
二人は「神様のパズル」を解けるのか?
時をかける少女
放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。
壊れた試験管の液体からただようあまい香り。
この匂いをわたしは知っている。そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床に倒れてしまった。そして目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始める。
何度も映画化されているなど、時代を超えて愛させ続けている国内SF小説の傑作。
思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想いが味わえる青春物語。
おかしな先祖
星新一による”SF落語集”。
収録される9つの短編は、すべてがジャンルとしてはSFに属して、”オチ”のある物語となっている。
どの話も作者本人が、”SF落語”としての物語を書いてみようと試みて作られたものとのこと。
モテなかった3人の男は、自分たちの体を組み合わせることを考えた。
とある青年は幸運を手に入れ続ける機会を手に入れた。
伴侶とした女性は美しすぎるがゆえに男を毎日引き込んで来てトラブルが絶えなかった。
などと、SFのような物語に対して、最後にとんでもないオチが待ち構えている短編の数々となっている。
終わりに
というわけでおすすめの「SF小説」を紹介した。
ロボット、時間旅行、宇宙人、冷凍睡眠、宇宙エレベーターなどを扱い、どの小説も未来の科学技術の詰まった、わくわくする物語となっている。
取り上げているSF小説は名作・傑作・人気作ばかり。
SF小説が少な人にも、あまり読んだことがない人にもおすすめできる面白い作品となっている。
興味のある小説があれば、ぜひ手に取ってみてください。