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死んだ人間と一度っきりだけ再会できる夜『ツナグ』【小説おすすめ】

 

死んだ人間と生きた人間を合わせる窓口、「使者」と書いて「ツナグ」。 

渋谷歩美は、高校生にしてその使者の役割を果たしている。

報酬は0円。死んだ人間との再会を強く願い、彼を見つけられた人が一晩だけ誰か一人との再会を果たせる。

再会を願うのは四人の人々。

死んだアイドルに会いたいファン。母親に相続の話を聞きたい長男。親友を殺してしまったかもしれない女子高生。消えたフィアンセと会話をしたいサラリーマン。

それぞれの思いを胸に抱き、使者を訪ねた。

再会した一晩でどんな会話が繰り広げられるのか。

ジャンルとしてはミステリーであるが人間ドラマとしての要素が強い小説となっている。

 

「ツナグ」のここが面白い

使者ーツナグーとは

使者は、死んだ人間と生きた人間を再会させてくれる人物だが、報酬は一切受け取らない。

再会するため、幾つかのルールが決められている。

  • 再会できるのは死んでいる人間にのみ
  • 使者が依頼を持ち帰り、依頼者が会いたいことを死んだ人に伝え、相手が了解したときのみ再会できる
  • 会えるのは一晩だけ
  • 会える回数は、死んだ人間も生きている人間も一度っきりだけ。生涯に一人としか会うことができない。

このルールの中で、人々は再会を果たしていく。

 

親友の心得

親友を殺してしまったかもしれないと悩んでいる女子高生・嵐が依頼者となった。

嵐と死んでしまった親友は共に演劇部に所属していた。

二人は部内で一つの役を取り合うオーディションをして、結果として死んでしまった友人が勝ってしまった。

嵐は、彼女に嫉妬し裏切られた気持ちになってちょっとした”罠”をしかけてしまう。

怪我をすればいいぐらいのつもりだったが、親友はそこで死んでしまった。

こうして、二人は別れることになり、使者を通じて再会を依頼することになった。

二人は会うことができるのか?会えるとしたらどんな会話が繰り広げられるのか?

 

待ち人の心得

依頼人・土屋功一は突如としてフィアンセが消息を絶ってしまったサラリーマン。

7年前に、突然姿を消した彼女のことをいまだに思い続けている。

彼女はもしかしたら死んでしまっているのではないのか?

そう考えた土屋は、使者に依頼をした。

果たして使者を通じて、彼女と再会することになってしまうのか?7年前の真実は?

ドラマが繰り広げられる。

 

終わりに

というわけで、『ツナグ』を紹介した。

再会を願う4人の人間と、使者自身の物語を加えた全5編が収録される。

ミステリー小説であるが、心揺さぶられる人間ドラマとしての要素も強い。

登場人物たちの強い苦悩を感じる作品となっている・

 

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