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人間の人格が入れ替わる奇想天外なミステリー『人格転移の殺人』【小説おすすめ】

 

人間の人格が入れ替わる奇想天外なミステリー小説。

「人格転移」というSFの要素にミステリーが融合している。

突然の大地震で、ファーストフード店にいた7人の人々は同時に被災をした。

彼らがシェルターだと思って逃げ込んだ先は、人間の肉体と人格を切り離し、入れ替えるという摩訶不思議な実験施設だった。

被災した7人の中から1人は瓦礫に埋まり、死んでしまった。

残りの6人は法則に沿って人格が入れ替わっていくが、脱出不能な隔絶された空間の中で連続殺人事件が発生した。

死んだ”肉体”の中に入っていた”人格”は誰なのか?犯人の”人格”は?

こんなミステリーはこの小説でしか読むことができない。

 

「人格転移の殺人」

人格転移の現象”仮面舞踏会(マスカレード)”

人々の人格が次々に入れ替わっていく現象のことは”仮面舞踏会(マスカレード)”と呼ばれる。

何者が何の目的で作ったのかわからないその実験施設は、装置の中に入っていた人間の人格を入れ替えることができる。

例えば、装置にAとBの2人の人間が入っていた場合、肉体A(=精神B)、肉体B(=精神A)といった具合である。

入れ替わる人間の老若男女は問われない。

なので、20歳の若者の女性の人格が80歳の老人男性で、80歳の老人男性の肉体に20歳の若者の女性の人格が入っているとの現象が起きてしまう。

そして、この人格はランダムな時間が経過すると、何の前触れもなくまた人格が入れ替わる。

さきほどのA、Bの二人だと、まず初めに肉体A(=精神B)、肉体B(=精神A)となり、ランダムな時間が経過したのちに、肉体A(=精神A)、肉体B(=精神B)と元に戻り、そしてまたランダムな時間が経過すると肉体A(=精神B)、肉体B(=精神A)となる。

これをどちらかが死ぬまで繰り返す。

肉体が死んだときに死ぬ人格は、その肉体にその時点で宿っていた人格の持ち主だ。

これが人格転移の現象”仮面舞踏会(マスカレード)”の全容となっている。

 

6人での仮面舞踏会(マスカレード)

今回はこの人格転移が”6人”で発生した。

6人での場合、肉体A(=精神B)、肉体B(=精神C)、肉体C(=精神D)...と一つずつずれた状態で肉体と精神が入れ替わったのちに、肉体A(=精神C)、肉体B(=精神D)、肉体C(=精神E)...と一つずつスライドをしていく。

この順番は変わることがない。

人格転移はランダムな時間がたったのちに発生をする。

この人格転移が発生して、混乱している最中に殺人事件が起こる。

誰の肉体が死に、誰の精神が死に、犯人の肉体の中にはどの人格が宿っているのかと謎が多く生まれる。

そして、そのトリックは見事と唸りたくなるほどに人格転移を上手に使い構築されている。

 

終わりに

というわけで、『人格転移の殺人』を紹介した。

人格が入れ替わるというSF要素に、殺人事件というミステリー要素を見事に融合させた小説。

トリックは綺麗に構築されている。物語のオチもかなりいいなと思う。

一風変わった不思議なミステリー小説を読みたい人にはおすすめの小説である。

 

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