神降市では猫が連続で殺される残忍な事件が発生していた。
警察官の父親を持つ小学四年生の芳雄は、「浜田探偵団」のメンバーの一人として、この事件を憂いていた。
そんな最中に、半月前に転向してきた鈴木君は自分は「神様」であり全知全能だと告げる。
そして、猫殺しの犯人を教えてくれた。
芳雄は、「神様のお告げ」を信じるのか、信じないのか。事件の真相とは?
芳雄にとっての神様を信じるかどうかの「神様ゲーム」が始まった。
この「神様ゲーム」はとんでもない方向へと転がっていく。
「神様ゲーム」のここが面白い
猫殺し事件
猫殺しというのは、最近ぼくの住む神降市で連続して起こっている悪質な事件のことだ。五月からこの二ヵ月ほどの間に四件、市内の 野良猫が次々と殺されている。
それもただ殺すだけでなく、一件目は首と尻尾を斬って両手を縛り上げ吊されていたし、二件目は左手と左脚を付け根から斬って俯せにして放り捨てられていた。
三件目はいっそうひどく、両手両脚を斬りとられ、四件目は首と両脚が切断されていた。
(出典:『神様ゲーム』)
猫が残虐な方法で殺されていく事件。
街ではこの不審者による事件に対しての警戒をした雰囲気が漂っている。
芳雄も犯人の正体が気になっていたが、自称「神様」に犯人の名を聞いてしまうことによって事件とゲームへと巻き込まれていくことになる。
浜田探偵団
芳雄は「浜田探偵団」のメンバーの一人。
これは、浜田氏に住む四年生、男女五人組によって結成されたいわゆる、少年探偵団。
子供達に「鬼婆屋敷」と呼ばれて恐れられている廃墟を基地としている。
芳雄は、「神様」に聞いた犯人が本当かどうかを検証するために、この探偵団を巻き込んで調査することとした。
この探偵団も、物語の中で重要な役割を果たしていくことになる。
謎の転校生との「神様ゲーム」
「さっき宇宙のことも知っているって云ってたけど、宇宙人って実在するの?」
「いるよ。知的生命体は全部で三万七千二百八十三種創ったかな。近いうちにレグルス星系の惑星に三万七千二百八十四種目を創るつもり だけど。
ただ云っておくけど、お互いに遠すぎて彼らもきみたちのことは知りようがないからね。世間で広まっているUFOやグレイとかの目撃談はみんなでっちあげだよ」
(出典:『神様ゲーム』)
自称、全知全能で創造主の「神様」の鈴木君と芳雄はことあるごとに論争をしていく。
だが、鈴木君も口が達者でなかなかボロをださないし、筋が通っているようにも聞こえる。
鈴木君が本当に「神様」なら、犯人の正体は明らかであり、鈴木君が嘘つきなら犯人の名はただのでたらめの筈である。
鈴木君を信じるかどうか?これが芳雄にとっての「神様ゲーム」となっている。
終わりに
というわけで、「神様ゲーム」を紹介した。
謎の転校生を「神様」だと信じるかどうか?恐怖の謎を含んだミステリー小説。
物語はどんどんと恐ろしい方向へと転がっていき、とんでもないオチへと向かっていく。
読み終わったときの衝撃と混乱が凄まじく、考察の時間が始まってしまった。
これは、鈴木君と芳雄にとっての「神様ゲーム」であり、作者・麻耶雄嵩と読者にとっっての「神様ゲーム」でもあるのだなと思う。
おぞましい描写の多い物語ではあるが、最後の急転直下の「考えさせられるオチ」を味わいたい人にはおすすめの小説である。
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