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ミステリー小説はコレだ!おすすめの面白いミステリー小説まとめ【日本編】

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小説の中で人気ジャンルのひとつ「ミステリー小説」。

謎解き、事件の推理、探偵などがでてくる小説全般を示している。

そんな日本国内のサスペンス・ミステリー小説の中で個人的におすすめで面白い作品をまとめてみた。

名作・傑作・人気作が数多く含まれている。

また、様々な人気小説家の作品が入るように選定をしてある。

それでは、どうぞ。

 

おすすめの面白いミステリー小説まとめ

悪の教典

 

この学校には怪物が棲んでいる。

英語教師の蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしている優秀な教師だった。

だが、この教師には”裏”の顔がある。

問題解決のためならあらゆる手段、「殺人」をもじさない異常者だった。彼の暴走は行き着くところまで行ってしまう。

一見、平和に見える「地獄」のクラス。彼を担任にしたクラスの生徒たちは無事に卒業できるのか。

 

 

ハサミ男

 

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを喉元に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」が現れた。

「ハサミ男」の特徴は、一度殺した少女にハサミを突き刺すこと。

物語は「ハサミ男」視点とそれを追う警察の二つの視点から進んで行く。

ハサミ男が三番目のターゲットの少女に目をつけ、いつ殺害してやろうかと綿密に調べ上げていたところ、その少女が自分の模倣犯によって殺されてしまった。

喉元にはトレードマークのハサミも突き立てられている。

警察が「ハサミ男」を追い、「ハサミ男」が模倣犯を追う奇妙な連鎖が開始した。

種明かしに驚くこと間違いない。

 

 

七回死んだ男

 

一族が会する席で、その長が殺される事件が発生した。

高校一年生で殺された男の孫の渕上久太郎は、特殊な力を持っている。

一度その現象が始まると、同じ日を九回繰り返す。

彼はこの力によって祖父の殺人を阻止しようと試みる。だが、どうしても殺しを止めることができない。

彼は、九回繰り返される同じ日で孤軍奮闘することになった。

特殊な力を持った少年探偵によるミステリー小説の名作。歪んだ時空の中で彼は知恵を振り絞る。

 

 

陽気なギャングが地球を回す

 

人間嘘発見器、演説名人、天才スリ、精確無比な体内時計の四人が集まったとき、銀行強盗が始まる。

それぞれ独自の特技を持つ四人組は、いつものように銀行強盗を計画して実行した。

だが、思わぬ邪魔によりせっかく盗んだ四千万円を盗られてしまう。

奪われた”自分たちの金”を取り戻す。

だが、自体は彼らの想像の斜め上を行く、思わぬ方向へと進んで行ってしまった。

伊坂幸太郎による、陽気な銀行強盗を扱ったミステリー小説。

ポップな雰囲気で物語は進んで行く。

 

 

火の粉

 

私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?

元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。

武内には殺人の容疑がかかっていたが、証拠不十分とのことで勲の手によって「無罪」が言い渡されていたた。

そして現在、隣家に突如引っ越してきた武内は、梶間家に少しずつ出入りする機会が出てきた。

ちょうどその時期に、梶間家には様々な異変が起こり始める。

自分は「殺人鬼」を解き放ってしまったのではないのか?その「火の粉」が我が家に降り注ぎ始めたのでは?

平和だった梶間家に暗雲が立ち込め始める。最後まで緊迫感溢れる小説となっている。

 

 

満願

 

表題作を含めた6つの短編から構成された短編集。

かつて世話になった人が殺人事件を起こした。その人の弁護をすることになった弁護士目線で物語の進む「満願」 を始めとし、どれもちょっとした日常の事件から物語はスタートする。

最後の1行まで緊張感が続き、結末までページをめくる手が止まらない。

なんとも言えない嫌な後味が魅力的な物語である。

 

 

ビブリア古書堂の事件手帖

 

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋 「ビブリア古書堂」。

この店の店主・篠川栞子は若くて綺麗な女性だが初対面の人とはほとんど話ができないほでの人見知り。ところが、本のこととなると人が変わったかのように冗舌に話し出す。

そんな、ビブリオ古書堂に勤めることになった五浦大輔は、彼女と共に本にまつわる事件に巻き込まれていくことになる。

そして、本限定で発揮される栞子さんの抜群の推理力で解決へと導く。

一冊に込められた人の思いや秘密を紐解きながら謎に迫るビブリオミステリー小説となっている。

 

 

殺戮にいたる病

 

蒲生稔は、逮捕の際まったく抵抗しなかった。

稔は、警察でもまったくおとなしく、質問されたことにはすべて答えた。

六件の殺人と一件の未遂について詳細に自白し、弁護士は国選で構わないと付け加えた。

試験判決したいして彼は控訴しなかったが、法務大臣の執行命令は、未だおりてはいないー。

 

東京の繁華街で次々と猟奇的な殺人を繰り返すサイコキラーが出現した。

異常な性癖を持った犯人による、くり返される凌辱の果ての惨殺。

殺害をする犯人、それを追う元刑事、その家族の三つの視点が事件を追いかける。

”叙述トリック”が美しいサスペンス小説。

どれだけ警戒をして読んだとしても、最終的に騙されることが間違いない。物語が一瞬で全て反転する。

かなり悪趣味で気分が悪くなるほどのグロテスクなシーンが何度かでてくるので読む前に少し覚悟が必要。

ただし、それを差し引いたとしてもぜひ読んでほしい名作小説である。

 

 

慟哭

 

連続少女誘拐事件が発生した。

証拠や容疑者はでてこずに捜査は難航。陣頭指揮する冷徹な捜査一課・佐伯も窮地に立たされていた。

自分も被害者の少女たちを同じくらいの歳の娘がいるので、被害者家族の気持ちは痛いほどにわかる。

だが進捗は何もなく、いたずらに被害者だけが増えていった。

果たして犯人は何者なのか?

捜査を指揮する立場であり、一人の父親でもある「佐伯」の「慟哭」がすごいミステリー小説。

練りこまれた見事な”叙述トリック”に欺かれるだろう。

 

 

クラインの壺

 

熱さ、冷たさ、痛み。人間の感覚まで再現する最強のバーチャルリアリティシステムを用いたミステリー。

ゲームの原作を謎の企業「イプシロン・プロジェクト」に売却した上杉彰彦。

その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に深く関わっていくことになった。

ゲーム完成間際にモニターとして参加することになった梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。

そこには、自分の作ったゲームの世界が現実と全く区別がつかない状況で広がっていた。

現実と仮想の狭間でさまようことになる一人の青年の命運を描いたミステリー小説。

読み終わった後に自分の体の感覚を疑いたくなってくる。

 

 

すべてがFになる

 

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。

彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。

偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。

特に、プログラマには是非読んでほしいミステリー。「すべてがFになる」ときに事件は起こる。

 

 

夏と花火と私の死体

 

九歳の夏休み、少女は殺された。

犯人は、同級生の九歳の少女。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく。

殺人者の少女は兄と一緒に死体を隠すことにした。

こうして、幼い兄妹の四日間の冒険が始まった。

次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?

死体をどこへ隠せばいいのか?

子供が被害者で犯人で共犯者のサスペンス小説。彼らの冒険に息を飲む。

 

 

半落ち

 

「妻を殺しました」

現職警察官・梶聡一郎が、妻を殺害し自首してきた。

動機も経過も素直に明かす梶であり、妻を殺したことには疑いがない。

ところが、彼が妻を殺してから自首をするまでの間に、空白の2日間あった。

梶は、この2日間で何をしていたのかを一切語ろうとはしない。

梶が完全に“落ち”ない”半落ち”なのはなぜなのか?

妻を殺してしまった梶の想いに対して、男たちが心揺さぶられていく。

『半落ち』は、悲しき運命を背負ってしまった男を巡る感動的なミステリー小説となっている。

 

 

神様ゲーム

 

神降市では猫が連続で殺される残忍な事件が発生していた。

警察官の父親を持つ小学四年生の芳雄は、「浜田探偵団」のメンバーの一人として、この事件を憂いていた。

そんな最中に、半月前に転向してきた鈴木君は自分は「神様」であり全知全能だと告げる。

そして、猫殺しの犯人を教えてくれた。

芳雄は、「神様のお告げ」を信じるのか、信じないのか。事件の真相とは?

芳雄にとっての神様を信じるかどうかの「神様ゲーム」が始まった。

この「神様ゲーム」はとんでもない方向へと転がっていく。

 

 

黒い家

 

若槻慎二は、生命保険会社で保険金の支払い査定の仕事に従事する。

ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまった。事件性を疑った若槻は保険金の支払いを保留し、この家の調査に乗り出す。

だが、これが若槻と「サイコパス」の接点となってしまった。

若槻はサイコパスにその命を狙われ、眠れない日々が始まった。

貴志祐介小説はどれも怖いが、純粋な「恐怖度」で言えばこの小説が随一であろう。

恐怖の連続とめまぐるしい展開にページをめくる手が止まらない。

 

 

Another

 

夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一。そのクラスは呪われていた。

一度その現象が始まるとクラスの人間とその関係者が次々と凄惨な死を遂げていく。

榊原はクラスに混じった既に生きていない”死者”を暴き出してこの現象を止めにかかる。

クラス全員からいない者とさせる眼帯の少女ミサキ・メイと共に呪いの謎を解きにかかる。

集団に混じった死者を暴いていくミステリー小説。上下巻と外伝『Another エピソード S』が発売されている。

 

 

[映]アムリタ

 

自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂される最原最早の監督作品だった。

彼女のコンテは二見を魅了し、恐るべきことに二日以上もの時間を忘れさせるほどに二見を熱中させた。

映画撮影は順調に進んで行ったが、完成したときに最早は謎の失踪を遂げる。

この映画は何の目的で撮影されたのか。二見は推理を進めていくうちに驚愕の真実に行き着き、とんでもない結末を迎える。

野崎まどのデビュー作でこの小説が面白ければ、刊行順に6冊目の『2』まどぜひ読み進めてみてほしい。ここでまたとんでもない衝撃を受けることになる。

 

 

ジョーカー・ゲーム

 

彼は”魔王”と呼ばれた。

結城中佐の発案で、陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校”D機関”。

その異能の精鋭達が、緊迫の諜報戦を繰り広げる。

第二次世界大戦前の日本軍が世界に向けて秘密工作に挑むスパイミステリー。

結城中佐の鍛え上げたスパイたちが世界を舞台に暗躍する。

 

 

ゴールデンスランバー

 

仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が暗殺された。

同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。

青柳は首相暗殺犯の濡れ衣を着せられてしまった。次々と現れてくる証拠に逃れるすべはない。

たった一人の脆弱な市民はこの巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか?

国家規模の工作と戦う一人の男を描いたサスペンス小説となっている。

 

 

イニシエーション・ラブ

 

ただの青春恋愛小説だと思っていたら度肝を抜かれる。最後の最後に物語の見え方は一転してしまう。

二人が出会ったのは、人数が足りないからと呼びだされた合コンの席。

理系学生と、歯科衛生士の彼女。

夏の海へのドライブ。ややオクテで真面目な僕らは、やがて恋に落ちていく。

甘美で、ときにほろ苦い青春のひととき...ではすまされなかった。

 

 

人格転移の殺人

 

人間の人格が入れ替わる奇想天外なミステリー小説。

「人格転移」というSFの要素にミステリーが融合している。

突然の大地震で、ファーストフード店にいた7人の人々は同時に被災をした。

彼らがシェルターだと思って逃げ込んだ先は、人間の肉体と人格を切り離し、入れ替えるという摩訶不思議な実験施設だった。

被災した7人の中から1人は瓦礫に埋まり、死んでしまった。

残りの6人は法則に沿って人格が入れ替わっていくが、脱出不能な隔絶された空間の中で連続殺人事件が発生してしまう。

死んだ”肉体”の中に入っていた”人格”は誰なのか?犯人の”人格”は?

 

 

暗いところで待ち合わせ

 

本間ミチルは視力を失くした女性。

家族も居らずに一人で静かに暮らしている。

そんな彼女の家で最近何者かの気配を感じる。布が擦れるような音が聞こえて、食パンの枚数が足りない。

何者かが私の家に住んでいる...。

他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。

こうして、恐怖の同棲生活が始まった。

乙一によるミステリー小説。危険な同棲生活は思わぬ方向へと転がり始めた。

 

 

ツナグ

 

死んだ人間と生きた人間を合わせる窓口、「使者」と書いて「ツナグ」。

報酬は0円。死んだ人間との再会を強く願い、彼を見つけられた人が一晩だけ誰か一人との再会を果たせる。

再会を願うのは四人の人々。

死んだアイドルに会いたいファン。母親に相続の話を聞きたい長男。親友を殺してしまったかもしれない女子高生。消えたフィアンセと会話をしたいサラリーマン。

それぞれの思いを胸に抱き、使者を訪ねた。

再会した一晩でどんな会話が繰り広げられるのか。

ジャンルとしてはミステリーであるが人間ドラマとしての要素も強い小説となっている。

 

 

氷菓 ”古典部”シリーズ

 

やらなくていいことはやらない。 やらなければならないことは手短に。

何事にも積極的には関わろうとしない「省エネ主義」の高校生・折木奉太郎。

彼はなりゆきで入部した古典部の好奇心旺盛な千反田えるを始めとする仲間たちと共に日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことになる。

ちょっぴりほろ苦い青春ミステリーシリーズ。

 

 

葉桜の季節に君を想うということ

 

こと女に関しては意気地のない後輩・キヨシに拝み倒されて、南麻布の愛子嬢の屋敷を訪ねたのが事件の発端だった。

なんでもやってやろう屋・成瀬将虎は悪質な霊感商法事件に巻き込まれ、一方では運命の女・麻宮さくらとのデートもこなさなければならず大忙しとなる。

果たして事件は無事解決するのか、そして将虎とさくらの恋の行方は?

素人探偵の元に持込まれた事件は意外な顛末を迎える。

まさかすぎるとんでもないトリックに騙されて仰天すること間違いない。

 

 

64

 

昭和64年、D県警管内で7歳の少女が誘拐される事件が発生した。

当時、捜査一課特殊犯捜査係に所属していた三上義信も初動捜査に加わったが警察の必死の捜査の甲斐なく、犯人に身代金2000万円を奪われ、さらに誘拐された少女も死体で発見された。

事件発生から十四年。犯人は未だに捕まらず事件も風化しきってしまっている。

三上は現在、D県警察本部警務部の広報室で勤務をしている。

そんな、三上の耳にこの事件・通称「ロクヨン」での警察の初動捜査に大きなミスがあったのではとの疑惑が入ってきた。

このことから忘れ去られた事件・ロクヨンが時を超えて動き出す。

 

 

クビシメロマンチスト ”戯言シリーズ”

 

戯言シリーズの第二作。戯言シリーズの中では個人的に最大の名作だと思う。

この小説を読むためにでも是非、第一作『クビキリサイクル』から読んでみてほしい。

主人公の戯言遣い・いーちゃんの言葉が持つ力が明らかとなる。

京都に連続殺人鬼が出没した。私立鹿鳴館大学。主人公と級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常にも危うい影が忍び寄る。

最後の一行の衝撃が凄まじい作品。

 

 

お前たちの中に鬼がいる

 

お前たちの中に鬼がいる……。

高校教師の須永彰は薄暗い地下牢のような場所で目覚めた。

なぜこんな場所にいるのか。前後の記憶も曖昧で全くわからない。

そして、自分の目覚めた部屋から外に出ると、そこには五つの部屋に鎖で繋がれた五人の女性がいた。

自分たちの中にいる鬼を殺し、謎の地下牢からの脱出を目指すサスペンス小説。

いつ殺されるかわからない不安定な世界で彼らは疑心暗鬼にとらわれる。

 

 

99%の誘拐

 

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。

そこには8年前、息子をさらわれた時の記憶が克明に記されていた。

男は当時の価値で5000万円分の、75kgの金塊を失った。

このお金は男と男の経営する会社にとって必要不可欠なものだったが、男は息子の命を優先した。

それから12年。かつての誘拐事件を模倣した新たな事件が勃発した。

今度の身代金は10億円分のダイヤモンド。

前代未聞の完全犯罪が幕をあげる。

コンピューターを巧みに使った犯罪を描いたミステリー小説。スピード感あふれる展開で、最後までノンストップで進んで行く。

 

 

万能鑑定士Qの事件簿

 

日常で起こる不思議な事件。

謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。

瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」こと凜田莉子。

広範な専門知識と観察眼が持つ頭脳派ヒロインが日本や世界を揺るがす事件や謎を解明していく。

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー

 

大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年、河崎。

初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。

標的は、たった一冊の広辞苑。

教訓を学んだ。本屋を襲うくらいの覚悟がなければ、隣人へ挨拶に行くべきではない。

こうして一人の大学生にとっての一つの物語が始まった。

そして、河崎と関わる中で二年前に起きた悲劇の事件のことを知ってしまう。

伊坂幸太郎による悲しく切ない青春ミステリー小説。「二年前」と「現在」がつながったときの衝撃が凄い。

 

 

向日葵の咲かない夏

 

夏休みを迎える終業式の日。

九歳の小学生・ミチオは先生に頼まれ、欠席した級友、S君の家を訪れた。

きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。

ミチオはS君が死んでいたことを先生に報告しに行くが、少し目を離した隙に、彼の死体は忽然と消えてしまう。

そして一週間後、死んだS君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。

僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため事件の謎を追いはじめた。

少年のひと夏の思い出を書いたミステリー小説。ファンタジーチックな要素もかなり強い。

事件が解明されるにつれて、恐ろしく不愉快な真相が近づいてくる。

 

 

青の炎

 

櫛森秀一は湘南の名門校に通う優秀な高校生。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人で仲良く暮らしていた。

そんな平和な家庭に母の10年前に別れた男、曽根が現れた。曽根は秀一の家に居座り、傍若無人な態度で、母の体のみならず妹にまで手を出そうとした。

家族の幸せを取り戻すために。

秀一は曽根を自らの手でこの世から葬ることを決意した。

完全犯罪に挑む一人の少年による青春ミステリー作。物語のリアリティーが凄まじく、秀一の運命に涙する感動の名作。

 

 

暗黒童話

 

突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の白木奈深。

臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。

それは、かつてこの眼が見てきた風景の「記憶」だった。

この記憶を元に菜深は、監禁された一人の少女の存在に気づいてしまった。

眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。

そして、悪夢のような事件に巻き込まれていく。

移植された臓器が疼くサスペンス小説。暗くて不気味な童話と共に物語は進んで行く。

 

 

儚い羊たちの祝宴

 

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。

毎年8月に蓼沼の別荘で避暑を兼ねた読書会が開かれるのが通例となっている。

優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件が、甘美な語り口で明かされる。

どの事件も唖然としてしまう真相に痺れてしまう。特に最後の話の「儚い羊たちの晩餐」が強烈に脳に焼きついて忘れられない。

「アミルスタン羊」の調理法が恐ろしすぎる。

 

 

脳男

 

地方都市で連続爆破事件が発生した。

証拠がほとんどない中で、警察は何とか犯人を突き止めることに成功する。

刑事の茶屋を始めとして、警察が犯人のアジトを急襲すると、そこでは何故か犯人ともう一人の男がもみ合いをしていた。

犯人は逃亡し警察は謎の男のみ逮捕するが、男「鈴木一郎」の言動はどこか奇妙だった。

この男は共犯者なのか?それとも...

男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが、鈴木一郎には恐ろしい秘密が隠されていた。

一人の奇妙な人物の謎やその運命を追ったミステリー小説となっている。

 

 

そして扉が閉ざされた

 

富豪の若き1人娘が不審な事故で死亡して3カ月後、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた。

それは死んだ娘の母親の手によるものだった。彼女は4人に隠されたとある秘密を暴こうとして、この事件を起こした。

しかし、心当たりのない彼らはこの密室からの脱出を目指す。

密室の恐怖、友人たちへの不信感、そして空虚な時間への苛立ち。

極限状態での彼らは、事件の真相を推理し、恐ろしい真実に気づいてしまう。

 

 

殺人鬼フジコの衝動

 

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。

だが、彼女の人生はいつしか狂い始めた。またひとり、彼女は人を殺す。少なくとも15人もの人間の命を絶った。

何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?

最後まで読むと物語の見え方は一転する。

殺人・暴力・いじめ・虐待など残酷な描写の多いグロテスクな小説でもある。

 

 

十角館の殺人

 

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学の推理小説研究会の7人が訪れた。

過去にこの島では連続殺人が起こったといういわくつきの場所だった。

そんな島に彼らはスリルを求めて足を踏み入れてしまった。

お互いを推理小説の作家の名で呼び合う彼らは、彼らの愛する小説のように次々と殺されていくことになる。

果たして、犯人の正体とその動機は?

綾辻行人による小細工なしの王道ミステリー小説の名作。衝撃の真相が待ち受ける。

 

 

セーラー服と機関銃

 

女子高生がヤクザの組長になって機関銃を振り回す。

父を殺されたばかりの女子高生・星泉は、組員4人のおんぼろヤクザ・目高組の組長を襲名する破目になった。

が、襲名早々、組事務所には機関銃が撃ちこまれ、早くも波乱万丈のヤクザ生活の幕開けとなった。

父親を殺した人物の正体に、二億円の麻薬の行方は?

抗争を繰り返す二大組織暴力団らが入り乱れ、事態は奇想天外な方向へと向かっていく。

 

 

犯人に告ぐ

 

川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せる。

ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切った。

白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった。苦渋を二度も舐めた彼だからこその言葉が語られる。

史上初の劇場型捜査を描いた作品。クライマックスは圧巻の一言。

 

 

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

 

物語は転校生、海野藻屑がばらばらの死体となって発見される場面から始まる。

中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にしたがっていた。

そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。

嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。

だが、藻屑は体と家庭に秘密を抱えていた。

友人との出会いからその死体を見つけてしまうまでの物語。

 

 

少女

 

親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた。

由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。

自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。

ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く。死の瞬間に立ち合うために。

間違った願望を持ってしまった高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描くミステリー作となっている。

 

 

扉は閉ざされたまま

 

密室殺人、完了

完璧に騙せたはずだった

ただひとりの女性をのぞいては

伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害した。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。

しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけはその死に疑問を抱いた。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。

ひとつの死体を前にふたりの息詰まる頭脳戦が始まった。

 

 

模倣の殺意

 

七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。

自殺であったであろうとして処理された。

彼の自殺に疑問を持った中田秋子は、遺書もないこの「死」に疑念を抱き、独自の調査を開始した。

一方、ルポライターの津久見伸助もまた同人仲間の坂井の死に謎があると思った一人だった。

中田秋子と津久見伸助二人には関わりもなく、別々の推理により別々の犯人を追い始めてしまった。

果たして事件の真相とは?

”叙述トリック”を使ったかなり初期のミステリー小説で、古典的名作となっている。

 

 

マリオネットの罠

 

フランス留学から帰国した上田修一は、恩師の紹介でフランス語の家庭教師の働き口を得る。

3カ月間住み込みで報酬は100万円、教える相手は広大な敷地に洋館を構える峯岸家の美人姉妹。

そんな峯岸家に務め始めて数日、修一は洋館の地下にある牢獄を見つけ、幽閉されている3女・雅子と出会う。

彼女は謝って人を殺したがために他の家族に監禁されていると告げた。

ガラスのように脆い神経をもった美少女を助けだそうとする修一だが、それは新たなる連続殺人の始まりだった。

赤川次郎によるミステリー小説。読みやすい文章で進み、予想外のエンディングを迎える。

 

 

告白

 

我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示した。

ここから元担任から生徒への復讐劇が始まる。

ひとつの事件が、その事件に関わってしまった様々な人物の口から語られていく。

たった一人の娘の死は”聖職者”である教師を”鬼”へと変えてしまった。

後味の悪さが凄まじいが傑作のミステリー小説となっている。

 

 

星降り山荘の殺人

 

雪に閉ざされた山荘。

ある夜、そこに集められたUFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある人物たち。

交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島で次々と起きる殺人事件。

果たして犯人の正体は?

クローズド・サークルを用いて、作者が読者に推理を挑む本格推理小説となっている。

 

 

クリムゾンの迷宮

 

藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。

視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。

ここはどこなんだ?傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。

「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」

それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。

デスゲーム系の小説でこれ異常による出来た小説は読んだことがない。

ゲーム主催者の悪意に戦慄する。

 

 

チーム・バチスタの栄光

 

東城大学医学部付属病院の「チーム・バチスタ」は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。

ところが原因不明の連続術中死が発生。高階病院長は万年講師で不定愁訴外来の田口医師に内部調査を依頼する。

医療過誤死か殺人か。田口のチームメンバーへの聞き取り調査が始まった。

さらには、厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔もやってきて疑惑の解明へと挑む。

まさかの展開が凄い医療ミステリーとなっている。

 

 

分身

 

私にそっくりな人がもう一人いる。あなたにそっくりな人がもう一人。

札幌で育った女子大生と、東京で育った女子大生。

二人の容姿は似ているなんて言葉では言い表せないほどに瓜二つだった。

縁もゆかりもないはずなのに同一の容姿を持つふたり。

神様の悪趣味な悪戯なのか。それとも...。

追跡と逃走のそれぞれの旅が描かれたサスペンス小説。二人が出会ったときに全ての真相が判明する。

 

 

ジェノサイド

 

イラクで戦うアメリカ人傭兵と日本で薬学を専攻する大学院生。

全く違う世界を生きるそれぞれの人物はとある数奇な運命によって結ばれた。

彼らはいつの間にか世界と人類の存続をかけた戦いへと巻き込まれていた。

アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。そして合衆国大統領が発動させた機密作戦の行方は。

巨大な陰謀に対して、”個人”たちが争っていくことになる。

圧倒的なスケールで描かれた衝撃の物語となっている。

 

 

終わりに

というわけで、海外作品を除いた日本国内のおすすめの面白い「ミステリー小説」をまとめてみた。

どれも謎解きや推理・スリルあふれる展開が楽しめるミステリー・サスペンス小説となっている。

興味がある作品があれば是非手に取ってみてください。