2009年、自民党は政権を失ってしまった。
政権を持っている党とそうでない党では、世間からの知られ方も扱われ方も全く違ってくる。
「1日でも早く、政権を取り戻したい」
そんな至上命題を与えられたデータ分析のプロフェッショナルがいた。
テレビとネットのメタデータを縦横無尽に駆使した政治情勢分析会議によって、自民党を4年後の選挙で勝利に導くことになる。
果たして、自民党の政権奪還の裏側には何があったのだろうか?
『情報参謀』は、自民党をデータ分析で勝利に導いた人物が初めて明かす、政権奪還の深層が書かれた1冊の新書となっている。
「情報参謀」のここが面白い
政治とIT技術
政治とITには、一見して距離がありそうに思える。
国会議員もITが得意だとは、決して言えないとのこと。
しかし、現在ではテレビやネット情報を積極的に取り入れていくことによって、政治の世界が進化しようとしている。
ここでは、「自民党の政権奪還」を目標として、データ解析技術が大活躍した例が語られている。
世間の関心を可視化する
政党でのデータ分析の仕事とは一体なんなのだろうか?
大きな仕事としては、テレビやネットでどの政党に関するニュースを全て収集して、どれくらいの量なのかを定量化することにある。
そして、そのレポートを毎週やそれよりも短い頻度によって報告していくことで、どんな方針で国会対策や記者会見をしていくかを決めていくことになる。
ここで、重要なことは「世界の関心を正しく可視化する」ことにある。
著者はそのプロフェッショナルとして、国会議員にもわかりやすく自民党の現状を伝え続けた。
選挙中では、タブレット端末を自民党の全候補者に配布することによって情報共有をしたりもした。
政党での仕事として、「自民党の現状」と「世間の関心の可視化」の分析をし続けたのである。
ありとあらゆる施策の数々
「政権奪還」こそが最大にして、絶対に達成しなければいけない目標である。
そのために、あらゆる情報技術が使われることになった。
- テレビとネットのメタデータを縦横無尽に駆使した政治情勢分析会議を開いた。
- 選挙には、候補者全員にタブレットを配布して情報共有をした。
- 当時の谷垣総裁にツイッターを使ってもらった。
- ニコニコ動画、YouTube、Ustreamで番組を流した。
- ニコニコ超会議にも、政党として出展した。
- 安倍首相をモデルにした「あべぴょん」というキャラクターがでてくるスマホゲームを出した
何としても与党になりたい自民党の協力体制も助けになり、ありとあらゆる施策の数々が使われることになった。
終わりに
というわけで、『情報参謀』を紹介した。
自民党員ではないが、”傭兵”として政権奪還のために働いたデータ分析のプロフェッショナルがその仕事内容を語った本である。
政治と情報技術の関わりが明らかになっている。
自民党をデータ分析で勝利に導いた人物が初めて明かす、政権奪還の深層が書かれた1冊の新書となっている。
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