月間3890万PV、339万のユニークユーザーを誇る「ライフハッカー」のプロ書評家、印南敦史さんが自身のライフハッカーでの経験をもとに、いかにして「伝わる」文章を書くのか、要点をまとめるのかの技術を明かしたのが、本作『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』である。作者は1日1冊本を読み、週5本もの書評を書く。それを2年以上続けているので、書いた書評は500本を越すと言う。全ての書評やブログを書く人、さらにはビジネスへの応用まで、「伝わる」文章に焦点を合わせてこの本は書かれている。
「読ませる」文章の書き方
では、読者に文章を「読ませる」ためにはどんな技術が必要なのだろうか?作者は5つの技術が必要だと主張する。以下にそれらを紹介する。
1、センス(感性)
まずはどんな文章がいい文章なのか、感じるとるセンスが大切である。センスと言っても才能のことではない。例えば、美しいことを表現する際に、ただ「美しい」というよりも、「ゾクッとする艶やかさ」や「あまりの美しさにうっとりとした」などと表現したほうが美しさをより明確に伝えることができる。
とにかく、大量の「いい」文章を見ること、読む習慣をつけることが必要である。そうすれば自然と文章に対するセンスがインプットされていく。
2、文法
文法といっても高度で難しいものを身につける必要があるわけではない。必要なポイントは2つだけである。「てにはを」と「テンマル」である。正しく、「てにはを」と「テンマル」が使えているだろうか?文章を正しく「つなぎ」正しく「区切る」ことができているか否かで、同じことを書いてあったとしても両者には歴然たる違いが生まれてくる。
「読ませる」文章を書くためには文法も意識するべきである。
3、リズム
なんだかこの文書読みにくいと感じたことはないだろうか?それは文章にリズム感が欠けているからである。リズム感がある文章は読みやすい。まるで「音楽」のようですらある。
無駄を省き、「テンマル」の位置を修正することで文章にリズム感がつき、読者にとって読みやすい文章になってくる。脳にもすらすらと入ってくるだろう。
4、簡潔さ
読ませる文章を書くために最も必要なものは、「簡潔さ」である。難しい言い回しや
あまり使われない感じや熟語を使うことで、文章は知的さを帯びる。しかし、それは本当に読者にとって読みやすい、「読ませる」文章になっているだろうか?
「読ませる」目的で書かれた文章は、あなたの賢さをアピールするため書かれたものではない。読者が読むためのものだ。安易に難しさに逃げてはいけない。
5、削ぐ力
これは4つ目のポイントである「簡潔さ」にもつながってくる。「読ませる」文章には「削ぐ力」も不可欠である。文章にあらゆることをコテコテに盛り込むことは簡単だ。しかし、盛り込めば盛り込むほど、焦点はぼやけてきて読んでも伝わらない文章になってしまう。
あなたの文章はやたらと長くはないか?その長さは本当に必要だろうか?削げ落とせるところまで削ぎ落としたほうが、文章は美しくなる。
この5つのポイントを改めて意識するだけで、読者に「読ませる」文章に生まれ変わるはずである。
今回は、文章を読ませるために必須な5つの技術を紹介した。他にも、文章を「読ませる」ために必要な、読者の視点に立つことの重要性といった大きなテーマから、「ですます調」「である調」のどちらにするべきか、漢字と仮名のバランスといった細かなテクニックまで、とにかく読者に文章を「伝える」ことに焦点を荒らせた技術が濃縮された本となっている。
ブログ、SNS、メールからビジネスの現場まで全ての文章を「伝える」必要のある人たちにおすすめの本である。あなたの文章は1ランク進化するはずだ。
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