
「損したくない」と感じる日本人は多い。
普段生活をしていると「損得」を意識するタイミングは数多くある。
例えば、「ポイントカードの提示」。
買い物で店に行くと、もはやどんな店でもポイントカードの所有の有無をしつこいぐらいに聞かれる。
一見で行った店のカードなど持っているはずもない。
もう一度その店に行く可能性は低いし、作っても財布が膨れるだけなのだが、「もしかしたら」と思いなんとなく作ってしまったという経験がある人は少なくないだろう。
そして、いずれかのタイミングでゴミ箱に捨てることになる。
なぜ、無駄だとわかっているポイントカードを作ってしまうのだろうか?
我々は「損」をしたくないのだ。
ただで貰えるポイントを捨ててしまうとなんとなく損した気分になってしまう。
この気持ちを拒否したくなる気持ちが強いからついつい無駄な行動をしてしまう。
そんな「日本人の損したくない行動」に焦点を当てた本がこの『損したくないニッポン人』だ。
ドラマ化もされた開成高校の野球部のノンフィクション『弱くても勝てます』が代表作にある高橋秀実さんによる、取材と考察に基づく本となっている。
「損」をテーマに節約、通販、不動産、リスクヘッジ、おカネ、家電、結婚、人生などに関する話が取り上げられる。
損したくない日本人
知っていると「損」をする
「知らないと損をする」はお買い得情報の決まり文句である。
しかし、高橋秀実さんによると逆らしい。
「知っていると損をする」のだ。
スーパーでの買い物、家電の買い替えなど我々が買い物をするタイミングが数多くある。
このとき、同じものなら出来る限り安いものを買おうとするのが普通の人の心理だ。
歩いて5分の近所のコンビニでなら定価980円の商品があるとする。
買おうかなと考え、ふと家にあったチラシを確認したらもう10分歩いた先のスーパーで890円だとする。
それならスーパーで買おうかと思ったら、なんと隣駅のスーパーなら特売で680円らしい。
しかし、隣駅までいくと電車賃も時間もかかってしまうから結局、近所のコンビニやスーパーで買い物をしてしまう。
別に高い値段で買ったわけでもないのになんとなく「損」した気分になってしまう。
これは家電やパソコン、携帯料金なんかでも言えることであろう。
知っていると「損」するのだ。
「損」とは金銭の話ではなく気持ちの問題だ。
同じ商品を買って「得」したの思っている人も必ずいる。
情報をむやみやたらと集めると人は「損」してしまう。
不動産購入での「損」
「夢のマイホーム」なんて言うことがある。
新築の物件を買うことはいまだに多くの人の憧れの一つに位置している。
でも、新築物件を買うことは「得」なのか?
新築物件の内訳は大まかに以下のようになるらしい。
- 企画原価(土地に購入価格)
- 建築原価(建築費用)
- 営業費用(販売促進の費用)
- 利益(総売上の15〜20%)
ローンを組めばこの費用にさらに利息がかかってくる。
このうち営業費用と利益は購入する際の費用であるため買った瞬間に物件の価値としては消えてしまう。
つまり、一度も済んだことがない家であろうと購入した瞬間に同じ価格で売れることはありえない。
3000万円払って2000万円の物を買ってしまったイメージだ。
新築物件を買うと「損」するのだ。
物件購入者からすれば「今後長く住めば得に変わっていくんだし、私が幸せなんだからほっとけ」との余計な話であるだろうし、実際に多くの人がそう考えて新築物件を購入していく。
しかし、購入金額に営業費用と販売会社の利益が上乗せされていることを知ってしまうとなんとなく損した気分になってしまう。
結局、「損」は気分の問題なのだ。
これまた知ってしまうと「損」をしてしまう一例である。
最後に
というわけで『損したくないニッポン人』を紹介した。
もちろん金銭的に本当に損している場合もある。
しかし、「損」が気分の問題であるケースも多々ある。
結局、損をしたくないと過度な情報収集をしないことが「損」から逃げる方法の一つだろう。
この本では「損」をテーマに節約、通販、不動産、リスクヘッジ、おカネ、家電、結婚、人生などに関する話が取り上げられる。
「損」に関して改めて知りたい人・考え直したい人にはオススメの本である。