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突然現れた宇宙船。彼らは見事に地球を統治した『幼年期の終り』【小説感想】

 

そのときは何の前触れもなく訪れた。

彼らにとってはそれは些細な行動に過ぎなかったのだろうが、地球人からするとそのことは、今までの歴史上で起きたどんな出来事よりも大きなことだった。

大きな宇宙船の一団がニューヨーク、パリ、モスクワ、ローマ、ケープタウン、東京、キャンベラ等の大都市のちょうど真上に浮かんだのだ。

そして彼らは何をするわけでもなく沈黙を守り、ただただ地球の上空に居座り続けた。

それから50年、彼らはその姿を誰にも見せることなく見事に地球の管理を行って見せた。

「地球と人類」「異星人」のファーストコンタクトを書いたSF小説の名作。

突然訪れたそのときに、人類にはどんなには選択肢が残されているのだろうか。

 

「幼年期の終り」の見どころ

異星人とのファーストコンタクト

大都市の上空に唐突に現れた宇宙船団とそれに乗る異星人の一団。

彼らはその姿を現してから丸六日間沈黙を守り続ける。

相手は偶然にやってきたわけではなく、地球のことを研究し尽くしてから満を持して姿を見せたのは明らかだった。そうでなければ、地球の大都市にピンポイントで居座るなどありえない。

人類が何もできなかった日々が過ぎ六日目、地球総督カレルレンと名乗る者が、あらゆる無線周波を覆い隠す強力な電波を用いて全世界に向けて自己紹介した。

彼は完璧な英語を話した。

だが、その話ぶり以上に人々を仰天させたのはその演説の文句だった。

それはどこから見ても最高の天才の作品であり、人間というものに対する完全な、そして徹底的な理解を示していた。

その博識とレトリックの巧みさ、さらに人類が未だに到達していないあらゆる知識に、圧倒的な知性を持っているのだと人類を納得させようと慎重に演出されたものであることは疑いがなかった。

こうして人類は国際問題のような広い分野の最高決定権は、もはや自分たちの手中にはないことを察した。

 

為す術がない人類

人類もただ黙って彼らの言う事を聞いていたわけではない。

だが、宇宙船を攻撃することにも積極的にはなれない。

なぜなら、もし宇宙船を破壊することができたとしてもそれは必然的にその下にある都市をも全滅させることになるからだ。

にもかかわらず、とある大国がそのことを企てる。おそらく一石二鳥を狙ったのだろう。なぜなら発射されたミサイルは非友好国の上空にある宇宙船に向けられていたからだ。

ミサイルが命中して爆発するとそこは巨大な火の玉が生まれて凄まじい火炎が空を覆う...はずだった。

実際には何も起きなかった。巨大な宇宙船は無傷のままもとの空間に浮かんでいた。

大国は攻撃の報復を受けるのかと思いきや、彼らは攻撃を受けた様子すら見せずにそのことを完全に無視していた。

 

異星人による地球の統治

異星人に地球を征服されてから、現代の地球はまさに”ユートピア”となった。

無知、疫病、貧困、恐怖などは事実上どこにも存在しなかった。戦争の思い出は過去に消え失せていた。

世界のどこを探しても英語を話せないもの、読み書きの出来ないものはいない。

犯罪すらも無くなった。

人類のエネルギーは全て建設的な方向に向けられるとともに地球は急速に変貌する。

彼らの統治は完璧で、地球は『ユートピア”となったのだ。

だが、人々の心には疑問が残る。人類はまだ誰も彼らの姿を見ていない。

そして、彼らが地球に来た真の目的は未だに明らかにされていない。 

 

最後に

というわけで、『幼年期の終り』を紹介した。

人類と異星人のファースト・コンタクトを書いたSF小説の名作。

彼らの真の目的は何なのか?衝撃の結末へと収束していく。

異星人、地球、人類、宇宙をテーマとした面白いSF小説を読みたい人にはおすすめの作品である。

 

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