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「ロボット三原則」の盲点をつくSFミステリー小説『鋼鉄都市』【小説感想】

 

三日前に宇宙人が一人殺された。

宇宙人側では犯人は地球人だと考えている。そして今日までまだ何一つ判明していない。

 

かつて地球から移民として宇宙のあちこちに移住していった人々が、やがて他の世界に宇宙国家を作った。

地球側から独立して、現状維持を目論む地球と衝突、逆に地球を制圧してしまう。

地球ではすさまじい人口増加のため、食料をはじめとするあらゆる生活物資が不足。その解決策として効率化を目的としたコンクリートと鉄のドーム都市である”鋼鉄都市”を建築しそこに住む。

宇宙人も地球人も互いのことを信用せずによくは思っていない。

そんな社会情勢の中で宇宙人殺害事件が発生した。

ニューヨーク市警C−5級私服刑事イライジャ・ベイリは地球人として事件の担当をし、真相を追う。

彼は、宇宙人側からのパートナー「R・ダニール・オリヴォー」とペアを組む。

だが、彼は生物ではなく精巧に作られた高度なヒューマノイド・ロボットであった。

人間とロボットである二人のコンビが衝突を繰り返しながら事件を解決していく。

事件には”ロボット”が深く関わる。

『鋼鉄都市』は「ロボット三原則」を定めたアイザック・アシモフが自らその盲点を突いたSFミステリー小説である。

 

「鋼鉄都市」の見どころ

ロボット三原則

「ロボット三原則」は同著者の『われはロボット』などに登場するロボットが人間と関わる上で必ず守らなければならない絶対的な法則である。

 

  1. ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
  2. ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
  3. ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。 

『鋼鉄都市』に出てくるロボットたちも例外なくこの三原則に縛られている。

だが、事件はこのロボット三原則の盲点を突く形で実行されてしまう。

 

刑事とロボットのコンビ

ニューヨーク市警の刑事イライジャ・ベイリは上司からの命令と昇級をちらつかされたことにより事件の真相を解明しようと奔走することとなる。

宇宙人側としては地球人に事件を担当させることにしたが完全には信用しきっていない。

そこで彼のお目付役としてヒューマノイドロボットであるR・ダニール・オリヴォーを一緒に捜査に加えることにした。

そのロボットは見分けが一切つかないほどに人間に見た目がそっくりで精巧かつ高度に作成されていた。それは地球の技術では到底作ることは不可能なほどであった。

この二人がお互いの理解が及ばないが故に衝突を繰り返しながらも犯人に迫っていく。

 

懐古主義者

地球には宇宙人の地球への進出やロボットの進歩に対して反感を抱いている懐古主義者たちが多く存在する。

彼らは、宇宙人は地球を不当に統治し、ロボットは我々の仕事を奪っているとの不満を抱き、これらに反抗するような活動を行っている。

この懐古主義者たちも『鋼鉄都市』において重要な役割を果たしていくことになる。

 

終わりに

というわけで『鋼鉄都市』を紹介した。

われはロボット』などで「ロボット三原則」を定めたアイザック・アシモフが自らその盲点を突いたSFミステリー小説。

宇宙人、地球人、ロボットなどの要素が地球上でカオスに混じり合う。

主人公で探偵役の刑事・イライジャ・ベイリが”ロボット”が事件に深く関与しているのではと考える。

イライジャ・ベイリは「ロボット三原則」に立ち向かっていくことになる。

ミステリーとSFの要素が見事に融合した未来の地球を舞台とした小説となっている。

 

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