
パン屋の店員チャーリイは32歳だが、知能障害を持っているために6歳児並みの知能しか持っていなかった。
チャーリイはもっと賢くなって周りの人たちと仲良くなりたいと願っている。
そんな彼に、画期的な脳外科手術を受ければ頭がよくなるかもしれないと告げられる。
動物実験でネズミのアルジャーノンに施した同じ手術は成功しており、アルジャーノンはネズミとしてはありえないほどの知能を持って生まれ変わっていた。
チャーリイも賢く生まれ変わるためにこの手術を受け入れることを決意した。
人間にとって大切なものは「知能」か「心」か。考えさせられるSF小説。
チャーリイの人生を涙無くしては見ることができない。
「アルジャーノンに花束を」の見どころ
チャーリイ・ゴードン
物語は主人公、チャーリイ・ゴードンの一人称で進んでいく。
チャーリイは知能障害を持っているがためにその知能レベルは著しく低い。
小説での初めの一人称も幼児が語っているようでかなり読みにくい。
だが、チャーリイが脳外科手術の臨床試験の被験者第1号に選ばれたがために、彼の人生は大きく変化する。彼は常人並みの知能を取り戻すどころか、はるかに上回る大天才へと進化した。
チャーリイは今までに知ることのできなかった、気づくことのできなかった様々な事柄をどんどんと吸収していく。
しかし、このことはチャーリイを必ずしも幸せにしたわけではなかった。彼は頭が良くなってしまったが故に、過去の自分が周りの人間にどう思われていたのか、扱われていたのかにも気づいてしまう。
天才ネズミ・アルジャーノン
ネズミのアルジャーノンは動物実験によって、チャーリイ以前にチャーリイと同じ脳手術を受けていた。
その頭脳、記憶力は凄まじく、手術を受ける前のチャーリイと共に行った迷路を解くテストでもチャーリイに勝る結果を残すほどだった。
同じ手術を受けた先輩のアルジャーノンはチャーリイの未来を示す道しるべとなっていく。
だが、それは決して明るいだけの未来ではない。
「知能」と「心」のずれ
チャーリイのIQは68から徐々に上昇し、数ヶ月でIQ185にまで到達する。
彼は自分に手術をした大学教授を勝るほどの頭脳を手に入れた。
しかし、心の成長はこのスピードにはついてはこれない。
チャーリイは天才的な頭脳と子供のような心を持ち、そのことが歪んだ性格を形成してしまう。周囲との新たな摩擦も生まれる。これはチャーリイを苦しめる最大の要因となる。
終わりに
というわけで『アルジャーノンに花束を』を紹介した。
人間にとって大切なのは「知能」か「心」か。チャーリイとアルジャーノンを通じていろいろなことを考えさせられるSF小説の傑作。
最後の場面ではきっと強い感動を覚えるだろう。
今後も読み継がれていくことになるだろうなと感じる作品。
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