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泥棒が「密室の謎」に挑む推理小説『狐火の家』【小説感想】

 

長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生した。

犯人の逃走経路は不明。事件現場は完全な密室で第一発見者の父に娘殺しの疑いがかかる。

昨日まで平和に暮らしていた普通の一家にいったい何が起きたのか。

貴志祐介によるシリーズの小説にして、「密室」を扱った王道の推理小説。

防犯コンサルタントにして現役の泥棒(?)な榎本径を探偵役とし、女弁護士・青砥純子がタッグを組んで密室の謎に挑んでいく。

「犯罪」は許すが、「悪」は許さない。そんな防犯探偵・榎本径の犯罪へのスタンスが見える。

「防犯探偵シリーズ」の第二弾で表題作を始め全4編から成る短編集。

数々の「強固な密室」が二人を苦しめる。

 

「狐火の家」の見どころ

強固な4つの密室

「狐火の家」は防犯コンサルタント兼泥棒の「侵入のプロフェッショナル」が密室に挑んでいく推理小説。

それぞれの事件現場は犯人によって考え抜かれたトリックが使われており、探偵と犯人の頭脳と頭脳がぶつかり合う。

いたいけな少女が殺害された表題作「狐火の家」、黒い牙と爪を持った生物が猛威を振るう「黒い牙」、殺された将棋棋士の残された盤面を読み解く「盤端の迷宮」、事件の鍵を犬が握る「犬のみぞ知る Dog knows」の全4編で構成されている。

どれも思わず唸らされるトリックや真相ばかりだ。

 

狐火の家

長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生した。

だが事件の現場は完全な密室で犯人は家に貯蔵されていた30kg分の金のインゴットと共に忽然と姿を消してしまう。

第一発見者は殺された少女の父親。現場の状況からこの父に容疑がかかってしまった。

女弁護士・青砥純子はこの父を弁護すべく榎本径と密室に挑む。

何故、彼女は殺されなければいけなかったのか。一家の真実、事件の悲しすぎる真相に涙する物語。

 

犬のみぞ知る Dog knows

とある劇団の座長が自宅で撲殺された。

劇団員は全員は口を揃えて犯人を名指しし、その容疑者も座長を殺害するだけの動機を過剰なまでにもっていた。

犯人はもう明らかなのだが座長宅に飼われていた犬が吠えなかった。これだけがネックとなっている。

犬は何を知っているのか。

犬の言葉を翻訳する玩具・バウリンガルで聞いても答えてくれない...。 

 

終わりに

というわけで『狐火の家』を紹介した。

弁護士と防犯コンサルタント兼泥棒が密室での殺人事件の謎に挑む王道のミステリー小説。

事件の謎や犯人の動機などの推理小説の魅力を純粋に楽しめる物語となっている。

時系列的にもまずは「防犯探偵シリーズ」の第一弾の『硝子のハンマー 』から読むことをおすすめする。

面白い王道の推理小説が読みたい人にはおすすめのシリーズである。

 

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