
ニコニコ動画の生みの親の川上量生さんは自他共に認めるゲームオタクで、「日本でも数百人程度しか遊んでいなかったというボードゲームを手始めに、ゲーム機やPCのシミュレーションゲームによって思考力や発想が鍛えられた」と語る。
ビジネスは世の中で一番「リアル」なゲームのひとつであり、ゲームに求められる能力、ゲームを通じて伸ばせる能力は、さまざまな分野において応用が利くとのこと。
実際にビジネスの現場でロジックを考える上で、これまで遊んできたゲームが”思考力の源”になっているという実感があるらしい。
それらの力で投稿動画サイトの巨人「YouTube」を後発の「ニコニコ動画」で迎え撃ち、成功させている。
そんな川上量生さんの思考法を学ぶことができるのがこの本となっている。
「ルールを変える思考法」のここが面白い
「ゲーマー」には優秀な人材が多い
ゲーマーと呼ばれる人たちの中には優秀な人材が非常に多いとのこと。ゲームで鍛えた思考力は、現実でも十分に役に立つと言う。
ゲームのルールは現実に比べてかなりシンプルだが、そこで使われるロジックは現実でも成り立つものが数多くあり、プレイすることによって培われる思考力は現実社会でも応用の利くものとなる。
ただし、ゲーマーという人種の最大の欠点は、労力や時間のほとんどをゲームに注ぎ込みがちになることである。
だが、この欠点を克服し、「ゲームそのもの」ではなく「人生というゲーム」にしっかりと向き合う気持ちになれたなら、ゲーマーが持っているポテンシャルは大いに発揮される。
川上さんもビジネスは世の中で一番「リアル」なゲームであると考えて会社を経営しているとのこと。
ゲームで学んだ「ルールを変える」という発想
あらゆるゲームをやり込んだ川上さんが特にゲームから学んだ思考法は「ルールを変える」ということ。
川上さんがよくやっていたコンピューターを使わないゲームではルールブックの解釈により、「ルールが変わる」ということが頻繁に発生する。
そして、ルールが変わるとゲームそのものが変わり、勝者が変わってしまうという体験を当然のこととして味わうこととなる。
これは、現実のビジネスでも同じことである。
既存のルールに従っていたのでは、新規に参入した者は絶対に勝てないシステムになっていることがある。そんな状況でも「ルールが変わるタイミング」「ルールを変えられる瞬間」をどこかで見つけられることがある。
ルールを確認・検証し、そこから最適解を探すことが現実の成功への近道となる。
ニコニコ動画で考えたのはYouTubeに勝てるかということ
ゲームにおいては自分なりの勝ち方を見つけられるかも重要であるとのこと。
ニコニコ動画を開始する際に動画共有の部分では、すでにYouTubeがサービスを確立させており、そこでは勝負しても仕方がない状況だった。
そのため、まずは「生放送」「ライブ感」といった部分で戦いを挑み、試行錯誤を繰り返し、結果として動画共有の部分でも戦えるようになっていった。
ゲームもビジネスも同じで、何らかの事業やアクションを起こすのであれば、「自分の武器になるものはなんなのか」を考え、それをはっきり打ち出していかなければならないということ。
その武器は、考えついた時点ではまだ使えないものであってもかまわない。
ゲームの世界では、レベルを上げていかないと使えない武器やアイテムもある。
それと同じで「この方向性で頑張っていって、体力レベルをここまで引き上げられたときにこの剣を持つ」というような考え方をするのもいいわけである。
終わりに
というわけで、川上量生さんの『ルールを変える思考法』を紹介した。
川上さんがゲームで培った思考法や考え方をビジネスの場でどう活かしているかが書かれた本である。
ビジネス書としても、読み物としても面白い内容となっている。
ニコニコ動画の生みの親、川上量生さんの脳内に興味のある人にはおすすめの本である。
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