
フランス留学から帰国した上田修一は、恩師の紹介でフランス語の家庭教師の働き口を得る。
3カ月間住み込みで報酬は100万円、教える相手は広大な敷地に洋館を構える峯岸家の美人姉妹。
そんな峯岸家に務め始めて数日、修一は洋館の地下にある牢獄を見つけ、幽閉されている3女・雅子と出会う。
彼女は謝って人を殺したがために他の家族に監禁されていると告げた。
ガラスのように脆い神経をもった美少女を助けだそうとする修一だが、それは新たなる連続殺人の始まりだった。
赤川次郎によるミステリー小説。読みやすい文章で進み、予想外のエンディングを迎える。
「マリオネットの罠」のここが面白い
上田修一
修一は二十七歳。K大学の仏文科の研究生である。
学部を卒業してから修士課程へ進み、二十五歳の時、フランスのソルボンヌへ留学した。
いまだに時折フランス語が無意識に口をついて出てしまう。
そんな特技を生かして、峯岸紀子と芳子の姉妹にフランス語の会話の初歩を教えることとなった。
そして、峯岸家に出入りすることになる。だがこのことが連続殺人事件を引き起こすきっかけとなった。
峯岸家の人々と秘密
修一が峯岸家に出入りするようになって一ヶ月経ったある日のこと、彼は峯岸家の紀子と芳子の姉妹以外に二人の妹、雅子が監禁されている事実に気がついてしまった。
雅子は、自分を襲おうとした下男に抵抗する中で彼を殺してしまったという。
世間には隠されたこの事件が原因で、彼女は二人の姉妹に閉じ込められていた。
自由を望む彼女に、修一は彼女を解放する計画を立てる。
しかし、この試みが新たな連続殺人事件の幕開けとなり、峯岸家の人々をはじめとする様々な人物を巻き込む事件へと発展していくことになる。
終わりに
というわけで、赤川次郎による『マリオネットの罠』を紹介した。
連続殺人事件を題材とし、全体として読みやすい文章で物語が進んで行く。
最後には話の見え方が一気に変わってしまう仕掛けもある。
軽く楽しめる面白いミステリー小説を読みたい人にはおすすめの作品である。
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