
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。
そこには8年前、息子をさらわれた時の記憶が克明に記されていた。
男は当時の価値で5000万円分の、75kgの金塊を失った。
このお金は男と男の経営する会社にとって必要不可欠なものだったが、男は息子の命を優先した。
それから12年。かつての誘拐事件を模倣した新たな事件が勃発した。
今度の身代金は10億円分のダイヤモンド。
前の事件で誘拐された当時、五歳の少年も事件に深く関わることになった。前代未聞の完全犯罪が幕をあげる。
コンピューターを巧みに使った犯罪を描いたミステリー小説。
スピード感あふれる展開で、最後までノンストップで進んで行く。
「99%の誘拐」のここが面白い
12年前の事件
12年前の事件は犯人に周到に準備されて実行された事件だった。
何度も繰り返される指示に従いながら、請求された5000万円を支払うことで息子は無事に帰ってはきた。
だが、この金額は父親がちょうど準備できるぎりぎりの額で会社にも絶対に必要なお金だった。
事件は結局未解決のまま時効を迎えた。
これが一つの引き金となって父親が経営する会社・イコマ電子工業は他の会社に吸収されてしまった。
何故、犯人は5000万円というちょうど良すぎる金額を指定できたのか?
このことは父親が死ぬまで残る深い疑念を生むことになる。
現在の事件
12年前の事件を模倣した誘拐事件が発生した。
被害者はかつての誘拐事件によりイコマ電子工業と合併した会社・リカードの社長の孫だった。
誘拐や身代金の引き渡し交渉にはコンピューターが巧みに用いられ、犯人は自分の尻尾を掴ませない。
請求されたのは、十億円相当のダイヤモンド。
そして、身代金の引き渡しに指名された人物は12年前の誘拐事件の被害者・生駒慎吾だった。
生駒慎吾
生駒慎吾は事件発生当時にはカナダにあるコリンズ研究所にいた。
そこから、身代金の引き渡し人として日本に呼び戻せれることになった。
12年前の未解決事件と何が関係しているのか?
12年前の事件の真相は?
謎が謎を生む新たな事件は最後まで緊張感あふれる状況で進んで行く。
終わりに
というわけで、『99%の誘拐』を紹介した。
12年前と現在の二つの誘拐事件を題材としたミステリー小説。
果たして、完全犯罪は達成されるのか?
ハラハラとした展開を最後まで続いていく小説となっている。
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