
38歳・秋。その夜、僕は5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。
永田一雄は今までの歩みに後悔して、人生に絶望していた。
妻は不倫を重ね、息子は中学受験の失敗から家庭内暴力をふるう。
永田家は家庭崩壊寸前まで追い込まれていた。
そんな、一雄の目の前にワゴン車が止まり、同乗することとなる。そして、一雄の今までの人生を振り返る旅へと出発した。
一人の男の半生を振り返る物語。旅の末に導き出す彼の結論は?
重松清によるドラマ化もされた感動作。
「流星ワゴン」のここが面白い
永田一雄という男
一雄は会社からリストラを言い渡されて職を失っていた。
不倫する妻・美代子に荒れ果てた息子・広樹。家庭に戻ってもいいことは一つもない。
小遣い欲しさに余命わずかの父を訪ねる。
自分の人生は完全に失敗してしまった。「もう死にたい」とも思っている。
そんなときに、目の前に一台のワゴン車が止まった。
ワゴン車に乗っていた橋本親子
ワゴン車に乗っていたのは交通事故で死んだ橋本家の父親と子供だった。
一雄は幽霊の運転する車に乗ることになってしまったのだ。
ワゴン車は”過去”へと向かうことができる。
一雄はこの幽霊親子と不思議なワゴン車と共に、自分の人生のターニングポイントになったであろう場面や時間へと向かうことになった。
過去を振り返る物語
『流星ワゴン』は主人公の永田一雄が過去へと向かう話だが、決して過去を改変していくような都合のいい話ではない。
ただ、ワゴン車と共に過去を振り返り、一雄の気持ちの持ちようを変えていくだけである。
過去は変わらない。自分は変えられる。未来は...。
死者の運転するこのワゴン車に乗っている自分も死ぬ運命なのかのしれない。
そんな状況で過去を振り返った一雄のだした結論は要必見。
終わりに
というわけで『流星ワゴン』を紹介した。
38歳、妻子持ちの一人の男が過去を振り返る中で、自分の人生を振り返っていく物語。
死者や自分と同じ年齢の父親などファンタジーな要素も多く含まれている。
未来に向けて頑張る勇気の湧いてくる感動の一冊となっている。