
連続少女誘拐事件が発生した。
証拠や容疑者はでてこずに捜査は難航。陣頭指揮する冷徹な捜査一課・佐伯も窮地に立たされていた。
自分も被害者の少女たちを同じくらいの歳の娘がいるので、被害者家族の気持ちは痛いほどにわかる。
だが進捗は何もなく、いたずらに被害者だけが増えていった。
果たして犯人は何者なのか?
捜査を指揮する立場であり、一人の父親でもある「佐伯」の「慟哭」がすごいミステリー小説。
練りこまれた見事な”叙述トリック”に欺かれるだろう。
「慟哭」のここが面白い
捜査一課長・佐伯
佐伯は警察の中でのキャリア組で、警察の組織の中での特に凶悪事件を扱う捜査一課長のポストに付いている。
家庭では一人の娘の父親だが、妻との関係は完全に冷え切っていて別居状態にあった。
佐伯には愛人がいた。娘にも月に一度程度しか会うことはない。
家庭を大事にしているとは言えない佐伯だったが、それでも今回の連続少女誘拐事件には胸を痛めていた。
連続少女誘拐事件
5歳前後の少女が誘拐されてしまう事件。
この事件において、ついに被害者の死体が発見されてしまう。
そして、同じ犯人によるものと思われる事件は他にもあり彼女らの生存もまた絶望的だった。
事件はまだ、止まっていない。
被害者をこれ以上出さないために、佐伯は一刻も早く犯人を逮捕しようと奮闘する。
宗教にハマっていく謎の男
この小説は、主に佐伯を始めとする警察の人々の捜査をメインに書かれている。
だが、それと同時にとある新興宗教にハマっていく男の話も間に挟み込まれる形で書かれる。
序盤では特に何かをするわけでもなく、ただ淡々とこの男の話もまた進んでいく。
この男はいったい何者なのか?
話が進むにつれて徐々にその正体が明らかになっていく。
終わりに
というわけで、『慟哭』を紹介した。
連続少女誘拐事件を扱った作品で、捜査一課長・佐伯の物語でもある。
この佐伯の「慟哭」がとんでもない小説で、作者の見事な”トリック”に騙されるだろう。
面白い警察物のミステリー小説を読みたい人にはおすすめの作品となっている。
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