
人間嘘発見器、演説名人、天才スリ、精確無比な体内時計の四人が集まったとき、銀行強盗が始まる。
伊坂幸太郎による「陽気なギャング」シリーズの小説で『陽気なギャングが地球を回す』に続く第二弾。
それぞれの特技を持つ4人の銀行強盗はそれぞれ4つの不可解な事件に遭遇した。
そして、それらのバラバラだった事件は大きな一つの事件へと向かっていく。
陽気なギャングを扱った小説でポップな雰囲気で物語は進んで行く。
「陽気なギャングの日常と襲撃」のここが面白い
銀行強盗は四人組
二人組の銀行強盗はあまり好ましくない。おまえは右で、俺は左、それならいっそのこと各人で行動しよう、と呆気なく解散する羽目になる。
では、一人で行動してみるとどうなるか。口論も裏切りもなく、選択はいつでも自分の思うがまま、何よりも自由だ。けれど、一人きりの強盗には孤独感がつきまとう。会話がなく、気持ちは沈み、下手をすれば独り言が癖になる。
三人ならどうか。確かに悪くない。多数決には適しているし、二人が喧嘩をはじめれば、一人が仲介に入れる。けれど、三人乗りの車はあまり見かけない。逃走車に三人乗るのも四人乗るのも同じならば、四人のほうがお得ではないか。五人だと窮屈だ。多数決のことは忘れよう。
というわけで銀行強盗は四人いる。
(出典:『陽気なギャングの日常と襲撃』)
銀行強盗四人組は、悪巧みをするときのみ集結して計画を立てる。
それ以外のときは、自分たちのプライベートを自由に満喫している。
メンバーを増やさなければ減らしもしない。
銀行強盗は四人組がいいにきまっているからだ。
バラバラの四つの事件
「嘘を見抜く名人」は屋上で騒ぐ刃物男騒動を目撃した。
「演説の達人」は「幻の女」探し、「精確な体内時計を持つ女」は謎の招待券の真意を追う。
そして「天才スリ」は殴打される中年男に遭遇して、その犯人を追う。
四人組の銀行強盗は、バラバラの四つの奇妙な事件に巻き込まれていた。
連鎖していく四つの事件
四つの事件はそれぞれが短編の形式になっていて、話もしっかりとオチている。
話のなかで関係性も全く見えない。
が、四つの事件が終わったり、いつも通りの銀行強盗を行っていたときに、とある違和感を感じたことをきっかけとして急展開を迎える。
そして、四人組で”銀行強盗でない”大きな事件に関わることになってしまう。
終わりに
というわけで、『陽気なギャングの日常と襲撃』を紹介した。
四人の天才がグループを組み銀行強盗を行っていくシリーズの第二作目。
個性的な登場人物により、ポップな雰囲気で物語は進んで行く。
あれよあれよと言ううちに話は急展開を迎える。
”陽気な”ギャング達を見てみたい人にはおすすめの小説となっている。
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