
とある時代、とある世界で、電話は単なる通話の道具ではなかった。
ある番号を回せば、自分の商売に関連した情報が即座に送られてくる。診察器と組み合わせれば、居ながらにして病院の診察も受けられる。
そんなある日、とあるマンションの一階にある民芸品店の電話が鳴り、「今からそちらの店に強盗が入る」との警告があった。
いたずらかとも思ったが、なんとなく気になった主人は店を早めに閉めようとした。
だが、ちょうどそのときに予告通りに強盗が店に押し入ってきてしまった。
星新一によるSF小説で、不思議な電話から人々の人生が狂い出す。
人間とコンピューターの共存・境界・支配について書かれた物語となっている。
「声の網」のここが面白い
民芸品店に押し入ってきた強盗
民芸品店には「強盗が入る」との警告があり、その警告通りに確かにナイフを持った強盗が入ってきた。
絶体絶命かと思ったそのときに、警察が駆けつけてきてくれて強盗を捕まえてくれた。
ぴったりすぎるタイミングに疑問を持った主人が聞いてみると、警察もまたこの店に強盗が入るから気をつけろとの電話を受けたという。
さらになんと、この強盗までもが謎の電話によって強盗をそそのかされていた。
不思議な電話の正体は何なのか?
この電話を中心として物語は進んで行く。
とある男の場合
とある男にも電話がかかってきた。
この男は金もなく、酒浸しのどうしようもない生活を送っていた。
だが、電話がかかってきたことから運命が変わりだす。
電話の相手は男の願いならなんでも叶えてくれると言った。
実際に男は自分は何もしていないのに金と女を手に入れて、さらには地位を得ることまで約束された。
不思議な電話は人々の人生を簡単に変えることができるほどの力を持っている。
コンピューターと人間
この小説は不思議な電話の謎と正体を中心とした物語だが、これにはコンピューターが深く関わっている。
『声の網』のテーマはコンピューターと人間の関係性である。
これら二者の関係はどう変化していくのか?
星新一による予言にも見える物語が紡がれる。
終わりに
というわけで、『声の網』を紹介した。
とある世界での不思議な電話を中心として人々が惑わされていく物語。
星新一によるSF小説でコンピューターと人間の関係性をテーマとする。
考え深い物語を読んでみたい人にはおすすめの小説となっている。
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