
星新一による”SF落語集”。
収録される9つの短編は、すべてがジャンルとしてはSFに属して、”オチ”のある物語となっている。
どの話も作者本人が、”SF落語”としての物語を書いてみようと試みて作られたものとのこと。
モテなかった3人の男は、自分たちの体を組み合わせることを考えた。
とある青年は幸運を手に入れ続ける機会を手に入れた。
伴侶とした女性は美しすぎるがゆえに男を毎日引き込んで来てトラブルが絶えなかった。
などと、SFのような物語に対して、最後にとんでもないオチが待ち構えている短編の数々となっている。
「おかしな先祖」のここが面白い
体を合体させることにした男たち「心残り」
この小説には、次のような短編が収録されている。
重症患者専用の部屋。ここには3人の男達がベットで並んで寝ていた。
彼らの人生は幕を下ろそうとしていたが、彼らは全員死ぬまでに自分がモテなかったことを後悔していた。
彼らはそれぞれ、誰もが見とれる顔に、屈強な上半身、健康な下半身をひとつずつ所有している。
そこで、自分たちが死んだ後にこれらを組み合わせて立派なモテる男に生まれ変わることを考えついた。
こうして、全員の死後に生まれた”合成人間”は自慢の体を持って社会へと飛び出していく。
しかし、その体にはとんでもない罠が仕掛けられていた。
ダイヤモンドを巡る戦い「所有者」
とある医者が巨大で美しいダイヤモンドを手に入れた。
そのあまりの美しさに、このダイヤモンドを見たものは、その所有者を殺してでも自分のものにしたいとの欲求にかられてしまう。
それほどまでに、このダイヤモンドは魅力的なのだ。
このダイヤモンドを見てしまった者たちの中で争いが起こり、この争いはどんどんと大きな組織よるものへとエスカレートしていく。
果たして、誰がダイヤモンドの”所有者”となれるのか?
魅惑の宝石を巡る物語が語られる。
ある日、街中に裸の男女が現れた「おかしな先祖」
表題作となっている短編作。
ある日の賑やかな街の中でのこと。そこに、二十才くらいの裸の男女が現れた。
彼らは自らの名をアダムとイブであると言ってくる。
最初はおかしな人かと思っていたが、どうも本物ではないかとの疑念が湧いてくる。
アダムとイブはすべての人間の始まりであると言われている。
現代の世界にどうして、このアダムとイブが現れたのか?
この謎の答えに対して、とんでもない”オチ”が待ち受けている。
終わりに
というわけで、『おかしな先祖』を紹介した。
星新一による、自称”SF落語”な短編が収録されている。
どの物語に必ず”オチ”があって、このオチがとんでもないものとなっている。
笑えたり、衝撃的だったりする短編を読んでみたい人にはおすすめの小説となっている。
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