
不可思議な死には死神の影がある。
社会の中では、人の死を決定する「死神」たちが仕事を行っていた。
彼らは、死をまじかに控えた人物に張り付き、1週間の調査の後にその対象者が死ぬことを「可」か「否」で決定する。
「可」となってしまった人物を8日目に必ず死を迎えることとなる。
彼らの見た目は人間と全く変わらない。
奇妙な雰囲気を漂わせる”千葉”は、この死神の一人だった。
千葉は6人の人物と出会い、その死の決定を下していく。
伊坂幸太郎による、人の「死」や「人生」をテーマとした小説となっている。
「死神の精度」のここが面白い
死神たちの特徴
社会に溶け込む、死神たちにはいくつかの特徴がある。
・彼らは人と見た目が全く変わらない
・音楽が好きで、CDショップ等に入り浸っている
・苗字が町や市などの都市名と同じである
・会話の受け答えが人間離れしていて、常識に欠ける
・素手では決して人間に触ろうとはしない
このような不可思議なオーラを漂わせる人物がいたらその人は死神なのかもしれない。
死神の仕事
死神たちの仕事は人の生死を決めること。
彼らには、担当すべき人物が割り当てられる。
その人物は、8日後に必ず死ぬことが決定している。
死に方は病死や自殺ではなく、事故死や殺人など。病死と自殺は死神の仕事の管轄外である。
そして、その人物を7日間付き切りで観察して、その死の可否を決定する。
大抵の場合は「可」となり、対象者は予定通りの死を迎えることになる。
こうして、死神たちは次の人物の死を決定すべく、新たな仕事へと向かっていく。
”千葉”という死神
この小説では”千葉”と名乗る死神の仕事を追う形で進んで行く。
千葉はクールな人物で、感情が表に出ない性格をしている。
彼が観察するのは6人の人物たち。
苦情の電話に苦しむ女性、復讐を目論むやくざ、吹雪の洋館に閉じ込められた女性など。
彼は、死をまじかに控えた人物に感情移入するわけでもなく、ただ淡々とその人物の観察を続ける。
そして、仕事と割り切り、機械のように平等に死の可否を決定していく。
終わりに
というわけで、『死神の精度』を紹介した。
伊坂幸太郎による小説で社会に溶け込むとある死神の視点で、人の生死を見つめていく物語。
彼は対象者と7日間過ごし、淡々とその生死を決定していく。
生や死、様々な人物の人生について考えさせられる小説となっている。