
奇妙な運命に翻弄される男達を描いた星新一によるショートショート集。
とある男は産業スパイをしようとしたこたがばれて、地球外へと追放された。
別の男は、悪魔を召喚しようと儀式を行ったら、近くに住む女性を召喚してしまった。
誰もいないのに耳元で「くすくす」と笑う幻聴が聞こえる男もいれば、何もしていないのにとにかく幸福なことが起き続ける男もいた。
そんな、不可思議な現象に翻弄されていく男たちの命運を描いたショートショート集となっている。
16編の物語が収録される。
「地球から来た男」のここが面白い
地球外へと追放されてしまった男「地球から来た男」
収録されている中で特に面白かったショートショートをいくつか紹介したい思う。
仕事で産業スパイをしようとした男がいた。
しかし、その企みはあっさりとばれてしまい、男は罰として、潜入した先の企業が発明したテレポーテーション装置によって地球外へと飛ばされてしまうことになる。
男が目を覚ますとそこは地球に似ているというか、全く同一な星にいた。
男はこの星をさまようことになる。
社長が突如、奇行にはしる「ある種の刺激」
北のほうの小さな都市にある支店の支店長の男がいた。
その会社は全国中に支店のある、大きな企業であった。
そんな男の元に、ある日その企業の社長から電話があり、この男の勤める支店へと来るとの連絡があった。
何事かと男が待っていると、社長は壁や天井を赤く塗ってみたり、壁に小さな穴をたくさん開けてみたり、50ものネズミ花火に火をつけてみたりとの奇行に走り出す。
社長はおかしくなったわけではなかった。
この行動の秘密を知った男は、社長の手伝いを始めることになった。
悪魔召喚を行った男「疑問」
男は趣味としてあやしげな古書や文集を集めていた。
その中で黒魔術に興味を持ち、悪魔を召喚しようとしてみる。
床のじゅうたんの上に毛糸で星型を作り、五つの尖った部分に鳥の羽根、魚の尻尾、皿にのせた豚の臓物、銀貨、レンズを置き、儀式を開始した。
「ペムラ、ペムラ、マポスロア...」
呪文を唱えるとそこに現れたのは、悪魔ではなくて人間の一人の女性だった。
この黒魔術を元にひと騒動が起きてしまう。
終わりに
というわけで、『地球から来た男』を紹介した。
星新一による運命に本領される男たちを描いたショートショート集。
全16編が収録される。
どれも不可思議な現象や、不思議な謎のある物語となっている。
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