
事業計画、資本政策、企業価値、IR、コーポレートガバナンス、社外取締役など起業に必要な知識は数多くある。
普通に仕事をしているだけではこれらの知識は身につかず、いざ勉強しようにも、どこからどう手をつけていいのかわからないもの。
そんな「起業」に必要な知識の中で、まずは絶対に身につけるべき基礎知識を網羅したのが『起業のファイナンス』である。
起業にまつわる必須の情報や最新情報までがわかりやすく解説されている。
「起業のファイナンス」のここが面白い
全ての人が起業をするべきというわけではない
この本を読むと「ファイナンス」を中心として起業に関する様々な知識を習得することができるができる。
だが、これは決して「起業」を進めている本というわけではない。
全ての人が起業するべきだというわけでもなければ、起業した人全員が幸せになれるわけではない。
深く物事を考えられない人たちが集まった会社は失敗することがあきらかである。
周りに反対されても、起業することをやめなかったようなやる気に満ち溢れた優秀な人のみが成功する可能性があるのだ。
そんな人を対象にして、起業にまつわる様々な情報や知識を得ることができる本なのである。
日本は起業家に冷たい国なのか?
「日本では、起業する人に資金を供給する風土がない」などと言われることがある。
果たして、日本は起業家にとっては、チャレンジしにくい国なのだろうか?
実際はそんなことはない。日本の個人資産は1600兆円もあり、そのほとんどが銀行預金されてしまっている。
成功したベンチャーやスタートアップには十分な資金供給がされてきた。
むしろ、日本では資金が欲しいベンチャーと投資をしたい投資家では、投資家の方が余ってしまっているのだ。
日本の問題は、投資家が投資をしたいと思うような魅力的な会社が少ないことのほうである。
もし、将来性のありそうなビジネスを見つけて、説得力のある事業計画を立てられれば、その会社が資金に困ることはないだろう。
日本は起業家にとっては、冷たい国どころか甘い国なのだ。
”出る杭を打つ”風土があるという意味での冷たさはあるかもしれないが、起業家を目指すものならそれくらいの”雑音”は振り払うべきである。
どんな人が起業に向いているのか?
では、どんな人が起業に向いているのだろうか?
起業の目的はカネためか社会のためか。
カネを目的としている起業家が大成することはない。普通の人は十億ものカネを稼げば生涯で使い切ることを難しい。
カネが目的の起業家は、ある程度の成功はするかもしれないが、そこで目的をたっしてしまい会社はいずれダメになってしまうことが多い。
では、「カネに興味がないです。社会をよくすることのみを考えています」というタイプはどうか?
このタイプは、投資家に信用されない。どんな会社も最終的には利益を上げなければならない。そうしなければ、会社はつぶれてしまう。
カネのみを目的とするべきではないが、カネのことを一切考えられない人もまた起業家には向いていない。
起業家に向いているのは、「この事業がいかに面白いか」「このサービスが世界を変えると思う」を信じている人である。
このタイプの人は、大金を手に入れても事業を止めることはない。事業を大きくするためにカネを稼ぐこともいとわない。
成功した起業家は、誰もが自分たちのサービスが最高にクールで世の中なをよくしてくれると信じている人たちばかりである。
結局、バランスが大事なのである。
終わりに
というわけで。『起業のファイナンス』を紹介した。
ここでは起業家とその周辺の環境について書いたが、それ以外にも事業計画、資本政策、企業価値、IRなど起業にまつわるファイナンスに関することが多く書かれている。
起業準備をするには、まずはぜひ読むべき名著である。
今は起業をする気が無くても、会社にまつわるファイナンスの知識を習得したい人にも良い本になると思う。
基礎知識を得たい人にはおすすめの本となっている。