
お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買入れた。
オールマイティのなんでもできるロボットだが、時々あばれたり逃げたりととんでもない行動をする。
ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが、実はこれら行動にも合理的な理由が隠されていた。
表題作「きまぐれロボット」を始めとして、”SF”ジャンルの様々なショートショート作が収録される星新一による短編集。
思わず唸ってしまう全35編が含まれている。
「きまぐれロボット」のここが面白い
睡眠学習を実現した枕「新発明のマクラ」
この本に収録されているショートショートの中で面白かったものをいくつか紹介したいと思う。
まずは、「新発明のマクラ」である。
小さな研究室の中でエフ博士はとある発明品を生み出した。
見た目がマクラなその装置は、眠っているうちに英語を勉強することができる睡眠学習装置だった。
眠っている時間を有効活用できる世紀の大発明である。
さっそく、被験者を用意してマクラを使った実験を開始したのだが、このマクラにはがっくりときてしまう、とある”欠陥”が含まれていた。
楽して勉強できるなどと、おいしい話などないと感じられるショートショート。
超高速で成長する植物「スピード時代」
天気のいい休日。
庭仕事をしているお金持ちのアール氏の家に、とある男が訪ねてきた。
この男は、植物の成長を促進する”魔法の粉” を開発したという。
実際に試してみると、およそ3時間で植物は花開き、実をならせた。
これがあれば毎日新鮮な果物を食べられるとアール氏は大喜びで購入したのだが...、この”魔法の粉”には、残念な副作用があったことが判明してしまう。
スピードが速いのは、実がなるまでではなかったのだ。
地球を訪れた異星人の話相手は...「ネコ」
とある異星人の調査員が地球を訪れた。
この異星人はどんな生物とも会話ができるのだが、地球で話しかけてしまった相手は”ネコ”。
そして、このネコが地球の住人代表として、地球に関することを彼らに教えてしまう。
ネコたちは、実際に人間や地球をこう思っているのかも...と愉快な気持ちになることができるショートショート作である。
終わりに
というわけで、『きまぐれロボット』を紹介した。
星新一による数多くのショートショートが収録されている本で、ロボットや宇宙人などSFジャンルの話が中心である。
思わずうなってしまう話や、皮肉やトンチのきいた笑える話などがる。
本のページ数も少なめなので読みやすいと思う。
SFジャンルに特化したショートショートを読んでみたい人にはおすすめの作品となっている。
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