
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、一筋縄ではいかない妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
そんな島である日、「未来の見える」カカシが惨殺された。
未来が見えるはずの彼は、何故自分の死を阻止することができなかったのか?
人気作家「伊坂幸太郎」のデビュー作。閉ざされた島での人間たちの物語が描かれる。
「オーデュボンの祈り」のここが面白い
気がついたら謎の島にいた青年
システムエンジニアとして働いていた二十八歳の青年・伊藤。
あるとき、変化のない日常に耐えきることができずに発作的にコンビニエンスストアを襲ってしまう。
だが、コンビニ強盗は失敗。
逃走をした伊藤だったが、ふと目を覚ますとそこは外界から閉ざされた孤島”荻島”だった。
伊藤はこの島でとある事件に巻き込まれていくことになってしまう。
他とは違うルールで動く島
”萩島”は住人が数千人程度住んでいる島で、江戸時代から外界から隔絶されている。
島で生まれた人の多くは、島からでることなく死んでいくことになる。
変わった島には、変わった人々が住んでいる。
口を開けば嘘しか言わない画家、合法的に殺人を許された男。そして、人語を操り未来を見ることができるカカシ。
独自のルールで発展したこの島は、何かが起きそうな以上な雰囲気を醸し出している。
事件の始まり、カカシの死
そんな”萩島”に伊藤が翌日、未来を見ることができるはずのカカシが惨殺される。
体をバラバラにされて頭を持ち去られてしまっていた。
彼は自分の死を予知できたはずなのに、その死を防ぐことができなかった。
誰が何の目的でカカシを殺したのか?死を予知できなかった理由は?
孤島で起きたひとつの事件を起点として、島に大きな波乱が巻き起こる。
終わりに
伊坂幸太郎のミステリー小説『オーデュボンの祈り』。
デビュー作にして”伊坂幸太郎らしさ”全開の物語が紡がれている。
カカシの死から始まった事件の衝撃の真相と結末は要必見。
閉ざされた島での人々の人生とドラマを味わいたい人にはおすすめの小説となっている。
関連記事