
ネットには次々と新技術が生まれるのに、日本の特に大企業はIT化に乗り遅れてしまっている。
その理由は、グーグルが提供する検索エンジンや広告ツールに依存し、アマゾンのトップページやレコメンド機能を表面だけ真似して満足する、そんな企業が多すぎるからである。
自社の本来の強みを忘れ、ユーザー意識が抜け落ちているビジネスがうまくいくはずがない。
iモードの生みの親でドワンゴの取締役などをするIT技術の最前線を走り続けてきた夏野剛氏による本。
IT技術にどう向き合うべきなのかその本質を解き明かしていく。
「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」のここが面白い
IT技術の進歩と乗り遅れた企業たち
ここ住数年のIT技術の進歩は目覚ましいものがある。
クラウドコンピューティング、AIなど数年前まではあまり聞きなれなかったIT用語も、数年経つと当たり前のように誰もが使っているような時代になっている。
そんな時代なので、多くの企業がネットビジネスに乗り出してきた。
だが、必ずしもネットに秘められた力を発揮し切れているとは言えない。
グーグルが提供する検索エンジンや広告ツールに依存し、アマゾンのトップページやレコメンド機能を表面だけ真似して満足するような企業が多すぎるのである。
これからの時代を生き抜くためにはネット技術を正しく理解して活用する必要がある。
ウェブビジネスの危険性
ウェブビジネスを始めることは容易である。
情報はグーグルで検索すればいくらでも手に入り、リスクも少なく、”それっぽい”ビジネスはすぐに始められる。
だが、そうした形で始めたビジネスの多くが「儲からないもの」となってしまう。
始めることの容易さ故に自分たちの会社の向き不向きなどを考えずに、リアルのビジネスでは絶対に乗り出さないようなビジネスに手を出してしまうのだ。
何か新しいことをやるのであれば、「自分や会社がその新しい事業に向いているか否か」「自分や会社にいる 人材が向いている分野、仕事、やり方」をきちんと追求することが大前提となる。
iモードでの決断
夏野剛氏がNTTで「iモード」のサービスを始めた時も、「iモード」で提供するコンテンツを内部でも作らないか、との話があがったという。
「iモード」の成功は提供するコンテンツの豊富さが鍵を握っていたからだ。
だが、下した決断は「やらない」ことだった。
たしかに、できるだけ多くのコンテンツは欲しかった。
だが、NTTにはコンテンツを企画・制作するノウハウは一切なかったのでその分野には手を出さずに第三者に全てを任せきった。
自分たちの身の丈をしっかりと判断したのだ。
このように何をやって何をやらないかがウェブビジネスを成功させるためには極めて重要なこととなってくる。
終わりに
夏野剛氏による「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」。
自身の経験を元にして、非IT企業がネットビジネスを成功させるためのコツが語られる。
ウェブの力を盲信しすぎずに、自分たちの得意分野で勝負することの重要性が語られている。
グーグルに依存し、アマゾンを真似るだけではだめなのだ。
ウェブを正しく使い、その力を自分たちの得意なビジネスと融合できたときにこそ新たな世界が見えてくる。
ネットビジネスへの提言を聞いてみたい人にはおすすめの本となっている。
関連記事