
家事万能のロボットを手に入れたら...。
世界平和をめざす秘密組織が実権を握ったら...。
安逸と平穏をのぞみながら、退屈な日々にあきたらず、精神と肉体の新たな冒険を求める人間。
超現代のなかでも、あいかわらず滑稽で愛すべき、人間らしい心の動きをスマートに描く星新一による短編集。
全11編が収録される。
新鮮な発想、奇想天外なストーリーの展開、そして意外な結末は、「あたかもアイディアを凝集した玉手箱」のような1冊となっている。
「おのぞみの結末」のここが面白い
レンタルで借りた”使えない”ロボットの隠された機能「一年間」
休日の午後。一人暮らしをしている青年の自宅のベルが鳴った。
訪れてきたのは二人の女性。
一人は”ロボットの販売員”でもう一人がその”ロボット” だった。
いわゆる何でも仕事をしてくれる”お手伝いロボット”で、まずは一年間レンタルで安い料金で貸してくれるという。
青年はこの申し出を受けてロボットを使い始めた。
このロボットは最初のほうこそ真面目に働いてくれていたのだが、徐々に仕事をサボり始めてしまう。
故障かと思いきや、これはロボットにとって正しい動作であった。
青年はこの使いにくいロボットのレンタルを当然、一年で終了してしまう。
ところが、青年は数年後にこのロボットに秘められた”素晴らしい機能”に気づくことになった。
世界中の天才が集められた組織「ひとつの目標」
研究室で実験しているエフ博士のところに、ひとりの紳士がとあるグループに入らないかと提案してきた。
このグループの目的は「世界の支配」をすることで、エフ博士のような秀でた才能を持った”天才”を集めているという。
暴力や殺人、金銭などでも世界征服を目指すのではなく、”頭脳”によっての支配を目指す。
世界中の天才が集まったグループだけにその支配は徐々に進んでいたのだが、その先には天才たちの誰ひとりとして気がつかなかったとんでもない落とし穴が隠されていた。
まさかの死神の正体とは...「空の死神」
外国行きの旅客機が空を飛んでいる中で、エンジントラブルが発生してしまった。
旅客機の硬度は徐々に下がっていき、乗客たちは、自分たちの生存は絶望的であると感じていた。
そんな中でもスチュワーデスは乗客たちを励まそうと業務に取り組む。
彼女を見て、乗客たちはひとりまたひとりと自分たちの人生を語り始めていく。
そして、自分の死を前にして、彼らは墓場まで持っていくはずだった秘密を語り始めたのだが...。
終わりに
星新一による短編集『おのぞみの結末』。
新鮮な発想、奇想天外なストーリーの展開、そして意外な結末が目の前に現れる。
そのまさかのオチに唖然とすること間違いない。
短い話の中で、何度も繰り返される”驚き”があふれた一冊となっている。
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