
有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。
だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。
生存は絶望的。指揮官は彼の死体を火星へ置いていく決断をした。
ところが、奇跡的にマークは生きていた。
不毛の赤い惑星に一人残された彼は、限られた物資・食料で自らの知識を駆使して生き延びていくことを目指す。
彼は無事に生きて地球に帰れるのか?火星サバイバルSF小説となっている。
「火星の人」のここが面白い
目が覚めたときには...
火星探査に来た宇宙飛行士のマーク・ワトニーが目を覚ましたときには、そこは誰もいない火星の地だった。
意識を失っているうちに、ワトニーが死んだと思った仲間たちは火星から飛び立ってしまっていた。
次に火星に有人探査機が飛んでくるのは約4年後。
それまで、この地に誰かが訪れることはない。
ワトニーの不毛の赤い惑星でのサバイバル生活が始まった。
生き延びるためのハードルの数々
ぼくは毎日1500カロリーとらなくてはならない。手始めに確保できるのは400日分。となると、1425日程度生きているためには、その全期間を通じて、毎日どれくらいのカロリーをつくりださなくてはならないでしょうか?
計算する手間をはぶいてさしあげよう。答えは約1100。
(出典:『火星の人』)
生き延びるために絶対に必要なものは水に食料。
さらには、酸素の安定供給も不可欠。
地球のNASAには連絡を取ることができない。
手元にある食料は400日分で全く足りていない。
食料確保以外にも過酷な火星の地でワトニーをありとあらゆるトラブルが襲ってくる。
ワトニーは科学を駆使して知恵を絞り、生き残りを目指していく。
物語の中に漂うリアリティー
人類が火星に到達した未来では、こんなことが起こるかもしれない...と感じてしまうほどに物語にはとにかくリアリティーがある。
ワトニーを襲う手にトラブルの数々には手に汗握ってしまう。
火星の気候や地質、宇宙探索のためのロケット、ローバー、機械などもリアリティーを持って描かれている。
この”リアリティー”こそが物語に緊迫感を与えて、スリルある展開を楽しむためのスパイスとなっている。
終わりに
火星の地にたった一人取り残されてしまった男の運命を描くSF小説『火星の人』。
彼がとにかく”生きて地球に帰ること”のみを目標として、火星でのサバイバル生活に挑んでいく。
「機械」「科学」「宇宙」が好きな人には特にたまらない内容の小説となっている。
手に汗握る展開が衝撃的であり、最後は感動的でもある。
宇宙ものでとにかく面白い小説が読みたい人にはおすすめの作品となっている。
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