いまやネットなしには毎日はありえない。
そのネットの世界では今、何が起きているのか?
ネットの世論とは何か?コンテンツは、国境を越えているのか?
書籍やテレビ、新聞を凌駕するのか?
そしてリアルとネットの関係は…?
みずからもパイオニアとして、ネット世界での様々な試みを実現してきたニコニコ動画の生みの親の川上量生が、ネットのいまと未来を活写する。
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーにもわかるように、ITに詳しくなくてもよく理解できる内容となっている。
IT界隈に詳しかったとしても、川上量生のネットの未来への洞察に納得すること間違いない本となっている。
「鈴木さんにも分かるネットの未来」のここが面白い
ネットの未来を鋭く洞察
この本では、主にインターネット界隈でのビジネスや文化は、現在どうなっていて、今後どのような方向に進化をしていくのかの予想が描かれている。
「ネット住人とは何か」「コンテンツは無料になるのか」「コンテンツとプラットフォーム」「インターネットの中の国境」「電子書籍の未来」「テレビの未来」
などが、川上量生の実体験などに基づき鋭く分析されている。
大きくみた”ネットの未来”が気になる人には、様々な知識を得ることができる本となっている。
世代ごとのネットへの理解の違い
インターネットはここ20年くらいで急速に発展をしてきたものである。
故に、世代ごとにインターネットへの知識の理解には大きな差が出ており、歳をとればとるほどネットについていけていない。
そんな中で注目されているのが、「デジアナ世代」と呼ばれる人たちである。
これは、1980年代前半ごろに生まれてきた世代で、彼らの何が特徴的かというと、インターネット時代以前のアナログと、インターネット時代以後のデジタルの両方を経験していることなのだ。
彼らは、中学生時代にポケベルが流行って、高校時代にPHSが流行った世代なのである。
それ以上の世代になるとアナログな知識によっている傾向があり、それ以下の世代になると「デジタルネイティブ」と言われるような、デジタル中心の世代となってしまう。
この絶妙な感覚を持った世代の人々が、今後IT業界で何かしらの波を起こす可能性がある。
ネットが生み出すコンテンツ
ネットの中にはUGC(User Generated Content)と呼ばれる、ユーザーが自主的に生み出しただけのコンテンツが数多く存在している。
例えば、ニコニコ動画でユーザーによって作られた歌やネットに投稿された小説などである。
過激な意見では、今後プロが作ったようなコンテンツは全てなくなり、ユーザーが作ったコンテンツに置き換わるなどと言われることもなる。
しかし、そんなことは本当に起こるのだろうか?
UGCには、明らかに得意な分野と不得意な分野がある。
そして、UGCはプロたちは儲からないが故にやらないようにニッチな分野で、多く生み出されいてる傾向が見受けられる。
もし、UGCがかなり儲かることがわかってくると、そのコンテンツはかなりクオリティーの高い、お金を取れるようなものが上位層を独占してしまう。
プロ化が進むのである。
結局、プロが作るコンテンツとUGCは、住み分けがされたままになると考えられる。
そして、その境目には、それを作った人が儲かるか儲からないかの壁が存在している。
終わりに
というわけで、『鈴木さんにも分かるネットの未来』を紹介した。
ニコニコ動画の生みの親の川上量生によって書かれている、ネットの未来を予言した本である。
扱っている分野はネットに関わる様々なもので、テレビ、電子書籍などの未来についても書かれている。
これからネットの世界はどうなっていくのだろうか?
川上量生による、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーにも理解できるように、わかりやすく書かれた本となっている。
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