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漫画ギーク記

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日本の若者の七割は自分が幸せだと感じている。『絶望の国の幸福な若者たち』【本感想】

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 格差社会・財政赤字・少子高齢化の加速...、年金は貰えるかわからないし、子供を産んでも保育園に入れない。今の「若者」は「不幸」である...はずなのだが、内閣府の調査によると、実は二十代の若者の70.5%が現在の生活に「満足」をしているらしい。

 このように過去の若者に対する、偏見を覆したのが古市憲寿さんの「絶望の国の幸福な若者たち」である。最近は、フジテレビの「ワイドナショー」での発言が炎上して話題になったりした。さて、二十一世紀の絶望の国「日本」を生きる若者たちは本当に幸福なのだろうか?

若者の生活満足度と幸福度は、ここ40年間で過去最高である

 内閣府の「国民生活に関する世論調査」によれば、二◯一◯年の時点で二◯代男子の六五・九%、二◯代女子の七五・二%が現在の生活に「満足」していると答えている。

(出典:『絶望の国の幸福な若者たち』)

 確かに、若者たちは「幸福」だと感じているらしい。僕も現在二◯代前半だが、自分をそこまで「不幸」だと感じたことはない。買いたい本は買えるし、手元にスマホはある。暇つぶしにはYouTubeも見れるぢ、コンビニがあるから餓死する心配もない。周りを見渡しても、そんなに「不幸」そうにしている人はいない。みんなそこそこ「幸せ」に暮らしているのだ。 

ピラミッドで発見された?「今時の若者は...」のルーツ。

 この若者は、不幸でダメだとの幻想は、いつから始まったのだろうか。確認された最も古い例は、「英国のセンス老教授」から聞いた話として、エジプトの古跡発掘で発見された「中世王朝の一書役の主録」に「この頃の若い者は才如にまかせて、軽佻の風を悦び」「嘆かわしい」と書かれていたことであったらしい(『木綿以前の事』岩波書店)。古代エジプトの時代である。その頃から、「今時の若者は...」と言い続け、その言われていた若者が年をとるとまた、「今時の若者は...」と若い世代に言うサイクルを繰り返していたらしい。誰も得をしない負のサイクルだ。

 若者へのバッシングは大きく二パターンに分かれるとのこと。一つ目は、自分たちの時代と比べて、今の若者はダメだと言ってしまうパターン。左翼学生批判等。二つ目に、若者が羨ましくて、今の若者はダメだというパターン。リア充批判や「電車の中でスマホばっかいじって...」みたいな批判だろう。どちらも自分とは違う、理解のできない存在である「異質な他者」として若者を批判し、それを通じて自分たちの優位性を高める行動であるとのこと。

若者論は永遠に終わらない

 ではなぜ、年をとると「今時の若者は...」といいたくなってしまうのだろうか。この「若者論」が終わらない理由に「加年効果」と「世代効果」をあげている。自分が年をとって世の中に追いつけなくなってしまったのを、時代の変化や世代の変化と勘違いしてしまうことである。

 よって、若者に苦言を呈することで、それを言う自分はもう「若者」ではないと確認し、「異質な他者」とは別の「まっとうな」社会の住人であると確認しているのだ。「若者」からしたらいい迷惑である。異質な者を認めてしまうと、自分が異質側になってしまうので、異質な若者を異質側にし、自分は異質ではないとする。「今時の若者は...」は、中高年者の単なる自己肯定だったのだ。これにより、若者は不幸でダメであるとのレッテルを貼られてしまっていた。

希望をなくすと人は幸せになれる。

 しかし、若者は「幸福」を感じながらも、本当に「幸福」だとは限らないとのこと。人が自分が「不幸」だというのは、「今は不幸だけど、将来はより幸せになれるだろう」と考えられるときだという。「今日より明日が良くならない」と思うとき、人は「今が幸せ」と答えるそうだ。

 今の「若者」は素朴に「今日より明日が良くなる」と信じられず、そこそこの日常に対して、「幸福」と答えているかもしれないとのこと。人は「希望」をなくしたときにも「幸せ」になれるのだ。

 

 古市さんは、幸せな若者たちの正体をこう述べる。

 戻るべき「あの頃」もないし、目の前に問題は山積みだし。未来に「希望」なんてない。だけど、現状にそこまで不満があるわけじゃない。

 なんとなく幸せで、なんとなく不安、そんな時代を僕たちは生きていく。

 絶望な国の、幸福な「若者」として

(出典:『絶望の国の幸福な若者たち』)

 

 現在買える、文庫版、kindle版は、最初に発売された単行本版に加えて、追記(というなのツッコミのようなもの)が追加されている。当事者として、再度「若者論」について考え直すにはよい本だなと思う。 

 

dokusyo geek ki